展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2013年 11月 06日 |
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは11月2日(土)から30日(土)まで、高梨豊個展「アクア ツリー」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの初の個展となる本展では、高梨が幼少の頃に聴いた童謡に着想を得て、東京都内から送電線の鉄塔を追いかけながら、電元である山梨県東部の水力発電所にたどり着くまでを撮影したシリーズより、カラー作品17点を展示いたします。
自身のキャリア全体を通じてこれまでも「都市」という主題に取り組んできた高梨は、かつての童謡の歌詞に、電気に対する当時の子どもの憧れや畏敬の念を感じ取り、「東京が都市化していくには電気が必要不可欠であり、“降臨してきた”電気の塔の根元を撮ってみようと思った」と言います。現代の暮らしが見える町並みに始まり、電気の流れに逆行する形で送電線の鉄塔を追いかけ、最後には満開の桜に囲まれる水力発電所に終わる本シリーズの撮影行程は、東京に最初に入ってきた電気を追うことで過去に立ち返り、改めて原点から「都市」の形成過程を読み解くとともに、現在の「都市」の在り様に照射する高梨の眼差しに呼応します。様々な視点から「都市」と向き合い続ける高梨の作品世界をこの機会に是非ご高覧下さい。
[作家コメント] 送電線の鉄塔を写そうと思い立ったのは、子供の頃、口ずさんでいたウタを思い出したからである。
ふしぎなでんきが ヒューン / ふしぎなでんきが ヒューン ゆうやけぐもを みてとおる / ゆうやけぐもを みてとおる とおいやまから マラソンで / くろいでんせん かけてきた (「ふしぎなでんき」作詞:中村千栄子 作曲:佐藤眞、『日本の童謡200選』日本童謡協会編、音楽之友社刊、1986年より抜粋)
しばらくして、写しているのが「杉並線」であるのを知った。山梨縣都留市鹿留水力発電所は大正始めに創業され、これが「杉並線」の電元であると言う。東京電力の廣野さんは、櫻の頃には、山一面花が咲き、大変綺麗だと云うことも教えてくれた。 3月11日は天気がハッキリせず、昼寝をしていた。大きな揺れに驚き、寝惚けまなこで書斎に急ぐと、家人がカメラの棚にはりついていた。 4月10日、遠くに富士山が見える、発電所に行く。花は咲き、ふもとには清流が激しく走っていた。
紫にほひし武蔵の野邊に / 日本の文化の華さきみだれ 月影いるべき山の端もなき / むかしの廣野のおもかげいづこ。 (「東京市歌」大正15年制定より抜粋)
「都市」の始まりを考える時、これも思い出すウタである。 「水の木」は、天を仰ぎ降り立った地をめぐる作業であった。
2013年9月 高梨豊
オープニング・レセプション:11月2日(土)18:00 – 20:00
全文提供:タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
会期:2013年11月2日(土)~2013年11月30日(土) 会場:タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
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最終更新 2013年 11月 02日 |