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中川佳宣:萌芽
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 9月 25日

中川佳宣
「原型 #2 」2013
木・綿布・アクリル・蜜蝋
22.0 x 8.0 x 9.5 cm

中川佳宣は1964年大阪府生まれで現在滋賀県在住。大阪芸術大学を卒業した1987年の初個展以来、一貫して植物と人間との関わり、すなわち農耕や栽培、農業といった人間の根源的な営みや、植物の構造をモチーフに作品制作をしています。彼は芸術家と作品との関係を農夫と植物との関係によく似たものとして捉えています。農夫が大地に種を蒔くようにキャンバスに絵の具を置き、農夫が畑を耕すように素材に形を与えます。中川の作品は様々な素材を自在に操る職人的な手技や、作品の素朴な佇まいから漂う豊かな詩情により、これまでつねに多くの人々を惹きつけ、東京国立近代美術館や和歌山県立近代美術館をはじめとする国公立美術館や、昭和シェル石油など数多くの企業に収蔵されています。


琵琶湖西岸の里山に暮らす中川はこのところ「萌芽」について思いをめぐらせています。

里山の自然は絶妙なバランスで人の手によってコントロールされてきた。我々が自然と思い込んでいるものの多くは実はとても人工的なものだと言える。
去年、その大半を虫にやられたアンズの木を根元近くから切り倒した。この春、その切り株の根元から新たに多くの若い芽が生え、いまでは緑が茂るまでになっている。こうした伐採で森を若返らす作業を「萌芽更新」と呼ぶらしい。洋の東西を問わず、雑木林は数十年に一度こうして再生されて来たのだ。
雪解けの季節、小さな木の芽が切り株の周りから生える姿は宛ら厳しい冬を蛹で過ごし、羽化しようとする昆虫のようにも見える。
萌芽とは新しいことのはじまりを意味することばでもある。
自然の芽生えは植物であれ動物であれ通い合う秩序の中で育まれているのだと思う。
中川佳宣

新しいことのはじまり。萌芽。かつてない規模の自然災害や既存の価値観の崩壊に遭遇している私たちはどう再生していけば良いのでしょうか。

タグチファインアートにおける7度目の個展である今回、新作の立体作品を展示致します。ぜひご高覧下さい。

なお、展覧会初日10月19日17時より作家を囲み、ささやかなレセプションを行います。皆さまのお越しを心よりお待ち致しております。


全文提供:タグチファインアート
会期:2013年10月19日(土)~2013年11月16日(土)
時間:13:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:タグチファインアート
最終更新 2013年 10月 19日
 

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