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Hiroshi Nakamura:VANISHING POINTS
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Published: August 05 2013

《三点消失・1》 キャンバス、アクリル 1167×803mm 2013年

自らを「絵画者」と名乗る中村宏は、1950年代からおよそ60年にわたり、 「モンタージュ絵画」「観念絵画」など独自の方法論によってタブローを理論化し、 絵画が否定された時代においても揺るぎなく自らの絵画表現を切り開いてきました。 このたびの展覧会では、2011年の個展で発表した「一点消失」に続く、 「二点消失」(150号ほか)、「三点消失」の新作を発表いたします。

テーマの「二点消失」、「三点消失」は、遠近感を出すための古典的絵画技法の一つです。 しかし中村は遠近法としてではなく、技法を“モチーフ”に変換し、絵画のさらなる深化を図ろうとしています。 消失点に向かう遠近法の構図を平板なグリッドが覆い、“奥行き”と“平面性”の相反する要素が交錯する 多層化したタブローから、鑑賞者との往復運動が生み出されてゆきます。

中村は、1989年からおよそ10年間にわたって「限界表示」、「タブロオ機械」など 黄色と黒のストライプによる、「色彩」自体をテーマとした作品を展開してきました。 今回はその時期の2001年に描かれた、黄色と黒のストライプの 貴重な未発表ドローイング6点も併せて展示いたします。

このたび展示する「二点消失」「三点消失」の新作、そして2001年の未発表ドローイングは全て 黄色と黒の色彩を中心に構成されています。 黄色と黒のストライプは、駅や踏切などで見かける注意喚起の記号であるにもかかわらず、 中村の作品からは、鮮烈な美しさが放たれます。 戦後、街の注意喚起の標識が“白と黒”の組合せから、米軍基地からもたらされたという“黄と黒”に変化し、 初めて中村がその色彩に出会ったときの衝撃が、タブローから鮮かに蘇ります。

[作家プロフィール]
中村 宏

1932年 静岡県浜松市生まれ
1951年 日本大学芸術学部美術学科入学

主な展覧会
1953年 「第1回ニッポン展」 東京都美術館 以後第7回展まで出品
1954年 「第7回日本アンデパンダン展」 東京都美術館 以後第14回展まで出品
1960年 「超現実絵画の展開」 東京国立近代美術館
1970年 「第1回齣展」 東京都美術館 以後現在まで毎年出品
1974年 「日本-伝統と現代 〔Japan:Tradition und Gegenwart〕」 デュッセルドルフ市立美術館、ドイツ
1985年 「再構成・日本の前衛芸術 1945-65」 オックスフォード近代美術館、イギリス ほか
1986年 「前衛芸術の日本 1910-70 [ Japon des Avant Gardes 1910-70 ] 」ポンピドゥ・センター、パリ
1988年 「日本のルポルタージュ・アート-絵描きがとらえたシャッター・チャンス」 板橋区立美術館
1991年 「芸術と日常-反芸術/汎芸術」 国立国際美術館
1997年 「ねりまの美術 ’97 池田龍雄・中村宏」 練馬区立美術館
1998年 「戦後日本のリアリズム 1945-1960」 名古屋市美術館
2007年 「中村宏│図画事件 1953-2007」 東京都現代美術館/名古屋市美術館
2010年 「タブロオ・マシン〔図画機械〕中村宏の絵画と模型」 練馬区立美術館
2010年 「前衛★R70展 -70歳未満出品不可・完全最新作-」 ギャラリー58(東京)
2011年 「一点消失・中村宏」 ギャラリー58(東京)
2012年 「自画像★2012」 ギャラリー58(東京)
2012年 「美術にぶるっ SECTION2 実験場 1950s」 東京国立近代美術館
2012-13年 「TOKYO 1955-1970  A NEW AVANT GARDE」 ニューヨーク近代美術館
2013年 「六本木クロッシング2013 アウト・オブ・ダウト展」 森美術館

■会期中のイベント:アーティストトーク 10月12日(土)15:00-16:00 参加費無料・予約不要


全文提供:Gallery-58
会期:2013.10.7~2013.10.19
時間:12:00-19:00 (final day - 17:00)
closed on 10.13
会場:Gallery-58
Last Updated on October 07 2013
 

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