| EN |

クリスティアーネ・レーア 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 1月 23日

クリスティアーネ・レーア
「無題」2012年
油性パステル・紙
22 x 20 cm

タグチファインアートでは、クリスティアーネ・レーア作品の展示を、上記の期間約6週間にわたっておこないます。

クリスティアーネ・レーアは1965年、ドイツ、ヴィースバーデン生まれ。ボン大学で考古学や歴史学、マインツ大学で芸術教育学などを学んだ後、デュッセルドルフ美術大学で学び、1996年にヤニス・クネリスからマイスター・シューラーリン資格を取得。現在はドイツ、ケルンとイタリア、プラートを拠点に活動しています。ミラノ近郊ヴァレーゼのパンザ・ヴィラ・アンド・コレクションにおける個展をはじめ、世界各地で展覧会を開催。作品は多くの美術館や著名コレクターの所蔵となっています。

クリスティアーネ・レーアは、自然界に存在する植物の種子や茎、馬の毛や犬の毛といった、普通彫刻には使われない素材を使って立体作品を制作し、形態や空間を研究しています。タンポポの綿毛を敷き詰めたクッション、キヅタの種子を積み重ねた寺院、草の茎を寄り添わせたドーム、アザミの種子をヘアネットに詰め込んだ袋、針と馬の毛によって生み出された“あやとり”のような形態、などです。それらは、近づいて見るまでその存在すら見逃してしまいそうなほど小さく繊細ですが、仔細に観察すれば、次第に堅固な構造物に姿を変え、周囲の空間を支配するほどの存在感で、わたしたちを圧倒します。

そのユニークさゆえ、彼女の関心が素材となっている植物や動物にあるように思われがちですが、実際はそうではありません。植物の可憐さや有機的な形態、色あい、美しさは、彼女の作品の一部となってはいますが、本質は違うところにあります。レーアがそれらを作品の素材として選ぶ決意をしたのは、子供の頃から慣れ親しみ、それゆえ性質を熟知しているからです。 ヤニス・クネリスはイタリアの芸術運動「アルテ・ポーヴェラ」の中心的作家です。彼らの特徴として、身近な素材を作品に使用するということが挙げられます。クネリスのもとで学んだ経験から、レーアは自らのヴィジョンを視覚化するために、自分が慣れ親しんでいる植物や動物の毛を素材として利用することに確信を得ている、と言えるでしょう。

レーアの制作の本質は、素材そのものが本来的に備えている構造や機能をじっくりとそして正確に見極め、それらが視覚的により増幅されるように再構築することです。素材や空間との忍耐強い対話を通して、彼女は世界の背後にあって自然や有機物を成立させている数学的な法則や力、秩序や建築的な構造を探求しているのです。

彼女は彫刻と平行してドローイングの制作もおこなっていますが、ドローイングにおいても、自然の内なる見えない力をすくい取り、抽象化しようという意思をそこに共通して見ることができます。

クリスティアーネ・レーアは2007年にギャラリーエークワッド(東京)で個展を開催。今回は日本で2度目の個展となります。彫刻作品と以前から続けている鉛筆やオイルパステルによるドローイングに加え、前回の来日をきっかけに始めた墨によるドローイングを展示致します。タグチファインアートでのクリスティアーネ・レーアの初個展を、ぜひご高覧下さい。


なお、展覧会初日2月23日(土)17:00-19:00に、この機に来日する作家を囲み、ささやかなレセプションを会場にて行います。また、3月1日(金)18:00-19:30には、ギャラリーエークワッドの主催により、竹中工務店東京本店2階Aホール(江東区新砂1-1-1)にて、酒井忠康氏(世田谷美術館館長)を聞き手にアーティスト・トークを開催致します。(入場無料、申込み制)
詳しくは、http://www.a-quad.jp/outreach/schedule.html をご覧下さい。

皆様のお越しを心よりお待ちしております。


全文提供:タグチファインアート
会期:2013年2月23日(土)~2013年4月6日(土)
時間:13:00-19:00
休日:日・月・祝
会場:タグチファインアート
最終更新 2013年 2月 23日
 

関連情報


| EN |