写真に写る人々や風景に、人間関係の儚さにほころぶ煌めきのようなものを感じていた。 蝶のような自由さと孤独さを被写体に重ねていたのかもしれない。はたまたその逆なのかもしれないけど。 心許なかったイメージも、写真を撮る行為の上で現実に清算されていくようになっていった。

紐先の蝶というタイトルは、昔の恋人と半同棲をしていたときの話し、部屋の電球からのびる紐に吊るされた 蝶のつがいの人形について。 最初はそれをイメージしていたけど、自分の過去に閉じこもった回想なんて被写体の前ではあまり意味を持たなかった。 被写体はあるがままに現れるから、だからそれを汚さないように言葉だけを残してイメージは捨てた。 そうしたら被写体も言葉もまた新しい意味を持つような気がして、それに懸けた。

［作家プロフィール］
水島貴大

1988年生まれ

（個展）
2009年「東京ロンリーハートランド」TOTEM POLE PHOTO GALLERY