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田中圭介:傾景
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 9月 10日

田中圭介
傾柱
2012
H238忻捣彡档ㄣ愆尖蚓樟、アクリル絵の具、オイル
Courtesy of YAMAMOTO GENDAI

[作家コメント]

傾景


家を支える柱は、垂直に立てる。人間は、垂直歩行し、崇高な志は真っ直ぐ天に向かって掲げられる。そもそも彫刻は、重力との拮抗である。
ある時、その「垂直」が実は幻想なのではないかという思いに捕われた。
我々の世界は、大本から傾いているのではないかということである。いかに堂々と立ち、いかに慎重に柱を据えても全て始めから傾いている。それが、人間であり、人間の世界なのではないか。

傾いているが、倒れていない。この危ういバランスの担い手は、絶えず求め膨らみ続ける人間の、善悪を問わない欲望と、我々にとって不条理とも思える、コントロールできない自然の摂理だ。

個人の死以上に、世界の死という絶望が道の先に大きな「穴」として存在する。風景が色あせていく。限りある時間の中で人間は、何故伝え、何故育み、何故夢を見るのか。

「傾いた世界」という前提は、そのように霧散しかけた私を、今一度世界の地平に引き戻した。人間の欲望と自然界の摂理、両者の作用で世界が存在しているのであれば、両者は共に不可欠だ。絶望の穴が暗く大きいほど、人間が生きるということが鮮やかに色づき幸福が起ち上がる。

欲望は暴走する危険もあるが、上昇する浮力にもなる。
底なしの「穴」は、どうしようもなく恐ろしいが、故に強い浮力の呼び水にもなる。

田中圭介

[作家プロフィール]
田中圭介

1976千葉県生まれ
2002東京芸術大学美術学部彫刻科卒業
2004東京芸術大学美術学部修士課程彫刻科修了

個展
2001Gallery風、東京
2005GalleryGAN、東京
2006昭島リレー美術展
2005彫刻銀河市民ロビー展、東京
2008青山、山本現代、東京

グループ展
1999◯◯◯展、ギャラリー山下、東京
1999WTokyo、多摩美術大学、東京
2005Sculpture、有隣館、群馬
2005いわくにアートフェア、山口県岩国市、山口
2006アトリエの末裔あるいは未来展、旧平櫛田中邸、東京
GEISAI#10、東京BIG サイト、東京
国民文化祭2006 いわくにアートフェア、山口県岩国市、山口
第2 回アトリエの末裔あるいは未来展、旧平櫛田中邸、東京
2007物語の彫刻、東京芸術大学大学美術館陳列館、東京
第3 回アトリエの末裔あるいは未来展、旧平櫛田中邸、東京
TOKYO>COPENHAGEN、MOGADISHNICPH、コペンハーゲン
2008ドリーム・オブ・ザ・スカル、山本現代、東京
2009奇妙な風景、山本現代、東京
2011SculptureTimes#1FromNUDE、上野の森美術館ギャラリー、東京
サブジェクティブ・オブジェクツ、山本現代、東京

今後の予定
2012平行的日本世界、A4ContemporaryArtsCenter、成都
傾景(個展)、山本現代、東京

受賞歴
ベーコンプライズ2010

パブリックコレクション
有料老人ホームGREEN、秋田

オープニングレセプション:2012年10月6日(土) 18:00~20:00  ※作家来廊予定


全文提供:山本現代
会期:2012年10月6日(土)~2012年11月2日(金)
時間:11:00~19:00
会場:山本現代
最終更新 2012年 10月 06日
 

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