| EN |

Midori IKEDA
Events
Published: July 05 2012

画像提供:TRAUMARIS|SPACE

『池田みどり』は、写真家の池田晶紀(いけだ まさのり)と 美術作家の三田村光土里(みたむら みどり)によるアート・ユニットです。

お互いの作品の背景にある潜在的な記憶をもとに、変化しても消えずに 残る街の空気や匂いを、不確かな物語の断片を演じる架空の女性を通し、 懐かしくも新しい、時空を超えたどこか遠い場所のファンタジーとして、 写真でドラマチックに視覚化してきました。


『編む女の棲む長屋』  *TRAUMARIS(3F)展示作品

2007年、「向島芸術計画」参加作品として、三田村光土里は東京下町の長屋に1ヶ月間滞在し、地元の人々から集めた毛糸で長い長いマフラーを編みました。墨田区京島は人々の努力によって第二次大戦の戦火から焼け残り、今も古い長屋や家屋が密集していますが、最近では急激な開発を避けることができません。

人々が着古した毛糸で長いマフラーを編むことは、町から消えてゆく記憶を再生させる試みのひとつでした。

作品に登場するのは下町の長屋に現れた架空の女性。そのポートレート作品を制作するべく、池田晶紀と三田村光土里は、無名の新人フォト・アート・ユニット「池田みどり」を結成しました。この作品は2008年、第8回国際写真トリエンナーレBacklight 08 “Tickle Attack”に選ばれ、フィンランドとポーランドを巡回。それを機に写真家「池田みどり」としての活躍の場を広げる事になりました。


『 I love you, I hate you. -すきよ、きらいよ-』

特大ポスターに続き、池田みどり写真集第2弾となる『 I love you, I hate you. -すきよ、きらいよ-』では、板橋区で50年以上、精密板金業を営む工場を舞台に、ミュージカル仕立てのラブ・ストーリーを写真でつくり上げました。

工場に初めて足を踏み入れたとき、日常から切り離された映画のセットの中にいるような、新鮮な感覚を味わいました。使い込まれた機械や、人々の作業の跡が残る場所には、働く人々の人生と日常の記憶が目に見えない気配(けはい)となり、どんな人生のドラマがその場所に折り重なってきたのだろうかと、さまざまな空想が膨らみました。

工場の中のそれぞれの部屋には、映画のセットや舞台美術とは違う、現実の人々の毎日が、何ひとつ調和を乱すことなく、自然に息づいている体温がありました。そこで池田みどりは、ラブ・ストーリーを演ずる男女の、人生の悲喜こもごもが交差する架空の舞台を、リアリティを持ったミュージカル・タッチの作風で、その場所に投影しようと試みました。

『I love you, I hate you. -すきよ、きらいよ-』は、異国のミュージカルや歌のタイトルにヒントを得て、揺れ動く男女の気持ちの情景を、ストレートに表現したタイトルです。

一見、殺風景にも見える工場の風景が、恋に落ちた男女のドラマを生き生きと演出し、日常と非日常のはざまを絶妙に描き出す相乗効果が、空間と役者の間に生まれました。そしてそれは、池田みどりが理想とする作品制作の、最高の舞台となってくれました。


『HEADACHE』

新作『HEADACHE』では、1950年代ヨーロッパの小さな雑誌広告をヒントに、池田みどりはこれまでにない新しい世界観に挑戦しています。

三田村のみやげの古雑誌を眺めていた池田が、ふと目に留めたアスピリンの広告写真。だれの記憶にも残らないような、その地味な広告写真に魅せられた池田と三田村は、日常生活のどこにでも見られる女性の仕草に、物語のようなポートレートのような、不可解で独特なインパクトを見いだしました。

池田みどりという架空の人物は、こういった偶然の出来事の中からアイデアが生まれます。この作品は池田みどりの新しいシリーズのカバーとして、今後へと展開されます。

[作家プロフィール]
池田晶紀 (いけだまさのり)

『池田みどり』は写真家の池田晶紀(いけだまさのり)と美術作家の三田村光土里(みたむらみどり)によるアート・ユニット。お互いの作品の背景にある潜在的な記憶をもとに、懐かしく新しい風景を写真でドラマチックに視覚化する。

2007年、三田村光土里による滞在プロジェクト『編む女の棲む長屋』の写真作品制作を機に結成。2008年には第8回ヨーロッパ国際写真フェスティバル“Tickle Attack”に選ばれ、フィンランドとポーランドを巡回。欧州にも活動の場を広げる。

2009年には墨田区向島を舞台に制作した写真集『池田みどり』を出版。

2010年 はドイツの写真フェスティバル\"Fotosommer Stuttgart 2010”に選ばれ出品。

写真家。

横浜生まれ。東京都在住。1999年、自ら運営していた「ドラッグアウトスタジオ」で個展を中心に活動を始める。

2003年よりポートレート・シリーズ『休日の写真館』で写真家としての創作、個展での発表。(現代美術製作所、東京都写真美術館ほか国内外で活動中)

2006年、代々木に個人スタジオ「ゆかい」を設立。親しみやすい性格とコミュニケーション能力が反映された写真作品は昨今注目を集め、展覧会以外にも、雑誌・書籍・広告で分野を問わず活躍。

2010年、個人スタジオを馬喰町へ移転し、オルタナティブスペースを併設、再び「ドラッグアウトスタジオ」の名で運営を開始する。

2005年 個展 『休日の写真館』現代美術製作所(東京)

2006年 『新進作家vol.4 Absolutely Private- ゼロ年代の写真論』東京都写真美術館(東京)

2008年 個展『太陽とみどり』KANZAN あきちギャラリー(東京)

2008年  『A PRIVATE HISTORY-Japanese Contemporary Photography』Victor Barsokevitsch Photographic Centre (フィンランド)

2010年 『SUNSET IN THE MORNING』MASTER PIPER(ロンドン)

2011年 個展『DOUBLE NATURE』ドラックアウトスタジオ(東京)

2012年 個展『DOUBLE NATURE』3331 Arts Chiyoda:3331ギャラリー(東京)

●7月20日(金)18:00-20:00

オープニングパーティー:

会場 Nadiff a/p/a/r/t


● 7月28日(土)18:00-20:00

写真集『 I love you, I hate you. -すきよ、きらいよ-』出版トーク

会場 Nadiff a/p/a/r/t

ゲスト未定

入場無料

アフタートークパーティ 20:00-23:00

会場 TRAUMARIS|SPACE 

会費 1,500円(1ドリンク&フード)


● 8月5日(日)15:00-18:00

池田みどりワークショップ『物語のあるポートレートのつくり方』 

会場 TRAUMARIS|SPACE

受講料 5,000円(1ドリンク付き)

定員 15名(中学生以上)

予約: This e-mail address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.


全文提供:TRAUMARIS|SPACE
会期:2012年7月20日(金)~2012年8月12日(日)
時間:15:00 - 24:00(日曜14:00 - 22:00)
会場:TRAUMARIS|SPACE
Last Updated on July 20 2012
 

Related Articles


| EN |