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むすんで、ひらいて ~新・芸術体験プログラム~ Vol.2 「原始感覚と出会う」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 2月 21日

杉原信幸《墓家》縄文遺構の配石、辺材、古材木、石棒、光、火、湯気 西丸震也記念館/長野 2010

「むすんで、ひらいて」は、芸術家と芸術以外の分野の専門家が、共通するテーマを元に、ワークショップやレクチャーを行う企画です。芸術家の作品と、研究者の視点を共に紹介することで、これまでとは異なる芸術の楽しみ方を提案します。ワークショップを通して作品に対する理解を深めると同時に、レクチャーを通して学術的な知識を得ることで、芸術鑑賞の際に手助けとなる自分なりの見方や考え方を身に付けることができるでしょう。芸術について「どんなふうに楽しめばいいのだろう?」と感じている方や、一歩踏み込んで考えてみたい方に特におすすめしたいプログラムです。

《原始感覚と出会う》
アーティストの杉原信幸が主張する「原始感覚」とは、現代人が失ったかにみえる「野生の感覚・自然とともに生きる術」を指します。杉原は野外作品《墓家 はかや2010》の制作中、偶然発掘された石器の使用痕をなぞる経験を通じて、原始の人と自然の深い融合性を感じ、原始感覚を実感するに至りました。石を置き、植物を編み、粘土を素焼きにしてできる、杉原の作品は、土地やそこに住む人にひそむ古い記憶をひらきます。杉原は時にシャーマンのように人と自然の仲立ちしながら、芸術家としての新しい表現を模索しています。

一方、中村大は古代人の場所やモノに対する価値観やイメージを、GIS(地理情報システム) などの手法を用いて解明しようと試みる考古学者です。古代の資源利用、精神生活のあり方について、科学的手法から迫る中村の仕事は、学術の立場から過去の暮らしや文化を、現代に役立てようとするものといえます。

今回のレクチャーとワークショップで杉原の作品と考古学はむすばれ、参加者は「原始感覚」を通じた、従来とは異なる芸術作品全体の見方をひらくことができるでしょう。「原始感覚」から始まる、新しい芸術の楽しみ方を見つけてみませんか。

[作家プロフィール]
杉原信幸(すぎはら・のぶゆき)
1980 年長野県生まれ。2007 年東京藝術大学大学院絵画科油画専攻修了。主な個展に「丸石座」(2008 恵比寿/site)、主なグループ展に「会津・漆の芸術祭2011~東北へのエール~」(2011 喜多方/二十間蔵)他多数。また自らの企画として「原始感覚美術祭 -Prayer in a lake-」(2011 長野/西丸震也記念館・木崎湖畔)などがある。

中村 大(なかむら・おおき)
1967年秋田県生まれ。1997年國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了。1997年より2002年まで國學院大學文学部助手。2003 年より1年半、セインズベリー日本藝術研究所半田考古学フェローとして英国で研究を行う。現在、総合地球環境学研究所プロジェクト研究員とともに、MIHO MUSEUM 客員研究員として平成24 年9 月より開催する縄文土偶展の準備に携わる。専門は縄文時代の考古学で、コンピュータを用いた環状列石の分析などを行う。遺跡と現代社会との関係にも関心がある。

①レクチャー編
下鴨神社「研修道場」にて杉原・中村によるレクチャーを行います。杉原は自身の作品と「原始感覚」について語り、中村は関西圏の祭祀遺跡と京都の関係、原始の自然崇拝などを紹介します。
同時に境内にある「糺の森」で、11 日のワークショップで用いるための小石、枯れ枝などの材料を集めます。

日時:3 月4 日(日)14:00−16:00
会場:下鴨神社「研修道場」・「糺の森」 ※研修道場前にご集合ください。
講師:杉原信幸(美術家)、中村 大(考古学/総合地球環境学研究所プロジェクト研究員)
料金:無料 ※暖かい服装でお越しください。

②ワークショップ編
杉原と参加者で、原始感覚をもとにした作品作りを体験できるワークショップを行います。参加者は持ち寄った自然物等を元に自分だけの祭壇状のサークルをつくり、それらを繋げて大きなサークルをつくります。本ワークショップは、原始時代の京都と現代の人々の記憶をつなぐ祈りの場となることでしょう。

日時:3月11 日(日)13:00-17:00
会場:京都芸術センター内 ※北館1階水飲み場を予定
講師:杉原信幸(美術家)
料金:500 円

※好きな石・枯れ枝などをお持ちください。思い入れのあるものでしたら、布や糸でもかまいま
せん。持ち寄った材料が、11 日のインスタレーション作品の一部となります。

【定員】各日30名(先着順)


*下鴨神社「糺の森」(ただすのもり)について*
京都市左京区の賀茂御祖神社(下鴨神社)の境内にある社叢林である。賀茂川と高野川の合流地点に発達した原生林で、およそ12 万4 千平方メートル(3 万6千坪・東京ドームの約3倍)の面積がある。
森林の全域が1983 年(昭和58 年)に国の史跡指定を受け、保存されている。1994年(平成6年)には下鴨神社全域が世界遺産に登録され、古代の山城国の名残をとどめている自然環境とされる。
1990 年(平成2年)度から奈良の小川・瀬見の小川の整備事業が行われ、それに伴う遺構の発掘調査で、2000年(平成12年)度には京都市埋蔵文化財研究所を中心とした調査グループにより平安時代の流路跡の発掘作業が行われた。また縄文時代の土器も発掘され、その復元土器が現在「鴨のくぼて」という名称で下鴨神社の神事に使用されている。

全文提供:京都芸術センター


会期:2012年3月4日(日)・2012年3月11日(日)
会場:下鴨神社・京都芸術センター

最終更新 2012年 3月 04日
 

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