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中川佳宣:卓上の畝
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 4月 09日

© Yoshinobu NAKAGAWA | Courtesy of taguchi fine art, ltd. | copyright(c) Yoshinobu NAKAGAWA | Courtesy of taguchi fine art, ltd.

中川佳宣は1964年大阪府生まれで現在滋賀県在住。大阪芸術大学を卒業した1987年の個展以来、一貫して植物や植物と人間との関わり、すなわち農耕や栽培といった人間の根源的な営みや植物の構造をモチーフに作品を制作しています。様々な素材を自在に操る職人的な手技や、作品の素朴な佇まいから漂う豊かな詩情により、これまでつねに多くの人々を惹きつけてきました。

タグチファインアートでは、昨年の展示「内包」に続く5度目の展示となります。 中川は、連続して続く畑の畝とそれを支える大地をモチーフにしたレリーフ状の作品「卓上の畝 - ridges on the table」を1992年頃から制作しています。それは再生紙を主な素材とし、多くは布や皮革が張り込まれて作られています。角を丸めた長方形や楕円の輪郭をもつ最中(もなか)のような形態が土台となり、表面には文字通り畝のようないく筋かの直線上の突起を支えます。今回の展示はこのシリーズからの作品が展示の中心となります。 彼は自らが仕事をする場を、農夫が仕事をする場である大地・畑のアナロジーとしてとらえ、それを「卓・テーブル - table」と位置づけていますが、それはテーブルが実際にその上で作家が作業をする身近なものであるという理由からだけではなく、現実空間に三次元的に立体として存在していながら、同時に時として二次元的な平面として立ち現れるという両義的な性格を持っているためです。絵画科出身でありながら一貫してレリーフという、平面と立体との狭間にある作品を中心に発表してきた中川は、平面から立体へ、そして立体から平面へという移行の瞬間を探ることで、「絵画・平面とは何か?」という問いに対する答えを見つけ出そうとしています。そしてこの問いは同時に「彫刻・立体とは何か?」という問いをも導きます。いっぽうで、彼の作品を見る私たちの意識は「表面の平面的な拡がり - 絵画・平面」と「内部の構造 - 彫刻・立体」とのあいだをさまざまに揺れ動きます。

※全文提供: タグチファインアート

最終更新 2009年 5月 16日
 

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