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小林史子:Mistletoe
Editor's Note
Written by Mizuki TANAKA   
Published: October 21 2011
There are no translations available.

PHOTO:Node Point 2011
インスタレーション(部分)
Copyright© Fumiko Kobayashi
画像提供:INAXギャラリー

   確かなものが、いかにあやふやであったか、私たちは3月の震災で思い知らされた。今回の小林の展示では、確かであるはずのギャラリー空間が、崩されている。天井の格子は、落ちてくるように吊るされ、架空の柱や紙に印刷された壁の中身の写真が組み合わさる。ギャラリーという建築物自体が、小林のインスタレーションにより、崩壊を模しているのだ。しかし、その様子を見ながらも、脳内には整然としていた時のギャラリーが思い起こされ、確かなギャラリー空間が再構築されていく。
   同時上映の映像作品では、留学時代に作者が住んでいた部屋で、荷物を作者が積み上げていき、また並べ直すという作業がエンドレスで流される。物の位置を変えるという行動は、物そのものの存在と、位置関係とを、体を使って愚直なまでに確認していく作業でもある。私たちは、確かめながら再構築していく、想像という力を持っている。その力を思い知らされる展示である。震災後の今だからこそ、観えてくるものがある作品だろう。

Last Updated on October 21 2011
 

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