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訃報:元永定正さん死去、88歳
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Written by KALONSNET Editor   
Published: October 19 2011
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   前衛グループ「具体美術協会」出身の画家、元永定正(もとなが・さだまさ)さんが10月3日日午後9時42分、前立腺がんのため、兵庫県宝塚市の病院で死去した。88歳。

元永さんは1922年、三重県上野町(現・伊賀市)生まれ。三重県上野商業学校を卒業し、漫画家を志すもの、郷里の画家・濱邊萬吉に師事し洋画に転向。1952年に神戸市東灘区に転居後は、抽象画制作を始め、1955年に吉原治良の誘いで前衛美術グループ「具体美術協会」(1954–72)に参加(1971年まで)。絵画作品、オブジェ、ハプニング、パフォーマンスと幅広く活動する。1958年に日本画の「たらし込み」に着想を得て、傾けたキャンバスに、予め描かれた下絵の「かたち」に沿って絵具を流す絵画によって国際的評価を確立した。

1966年から67年に掛けてジャパン・ソサエティーの招聘でニューヨークに滞在。作風を一新し、エアブラシなどを使い、ユーモラスな形と豊かな色彩で構成する抽象画のスタイルを確立した。1970年代からは絵画のほか版画、映画、陶芸、絵本、カーペインティング、タピストリーや椅子のデザインなどさまざまな領域で活躍した。

絵本作家としても活躍し、詩人・谷川俊太郎著『もこ もこもこ』(文研出版 1977)、元永定正著『ころ ころ ころ』(福音館書店 1984)、ジャズピアニスト・山下洋輔著『もけら もけら』(福音館書店 1990)などが代表作。現在もロングセラーを続けている。

受賞・受章は1964年に第6回現代日本美術展優秀賞、1983年の第2回芸術文化振興協会賞・第15回日本芸術大賞・第4回ソウル国際版画ビエンナーレ大賞、1986年の兵庫県文化賞、1988年のフランス政府芸術文化シュバリエ章、1991年紫綬褒章、1992年大阪芸術賞、1997年勲四等旭日小綬章、2007年の損保ジャパン東郷青児美術館大賞など多数。

1993年には第45回ヴェネツィア・ビエンナーレに出品。2011年9月には兵庫県立美術館に野外彫刻《きいろとぶるう》を寄贈した。また、現在、神戸市で開催中の『神戸ビエンナーレ』招待作家展「REFLEXIONEN ひかり いろ かたち」(兵庫県立美術館ギャラリー)に作品を出展している。

Last Updated on October 20 2011
 

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