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fictions:食べられないレストラン
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2011年 10月 08日

Copyright© fictions
画像提供:workroom*A

    「食べられないレストラン」とは、どんな「レストラン」だろうか。
    レストラン(ギャラリー)に入ると、テーブルクロスのかかった机にナプキンが 置かれたお皿が並んでいる。鑑賞者がイスに座ると、メニューを手渡される。レストラン と同じように、私は渡されたメニューをめくり始める。何を食べようか、食事を選ぶ楽し みが始まる。ところが、ページをめくってしばらくして気づく。おいしそうなパンやスイ ーツ、焼き菓子が「食べられない」ことに。
    本展は、長岡綾子(プラン、デザイン)と成田舞(写真)によるユニットfictionによる「メニュー」の展覧会なのだ。写真やそばに添えられた筆記体で書かれた料理名を見ているだけでおいしそうな食べものの歯ごたえ、舌触り、甘さ、香り、暖かさ、冷たさを食感 や触覚ではなく、視覚や想像で楽しむ。見た目だけで私たちはどれだけ食欲を刺激されているか。そして、食べものではないものでさえ、食べものに見えてしまう食欲の力の偉大さに気づく。
    食欲の秋、おいしいメニューを見てお腹を満たそう。そして、帰り道に思う。今晩は何を食べようかと。

最終更新 2011年 10月 08日
 

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