樋口佳絵:針がとぶ |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 9月 28日 |
キドプレスでは昨年の10月に引き続き、2回目となる待望の樋口佳絵展。宮城県仙台市出身である樋口は、現在も同所にて制作を続けています。その中から、未発表の銅版画3点と、数点の新作のペインティングを展示いたします。 樋口の描く少年少女たちは、いつか何処かで見かけたことのあるような姿で不思議な空間の中にたたずんでいます。 また表情からは、あどけなさや素直さ、時に悲しげで時にユーモラスな、彼らの心の一片を覗き見る事ができます。 その描写は、日々の移り変わりをもう一人の自分が、どこか離れた場所から、つぶさに見つめているかのようです。 タブローでは油彩と古典的なテンペラ技法を併用しながら、繊細で柔和なタッチや、温かな色合いを生み出しています。 また銅版画では柔らかな色調や、腐食の偶発性によって出てくるマチエールにシャープなエッチングのラインが際立ち、作品の世界感に新たな彩りを添えています。存分に樋口の魅力を感じ取る事が出来る事でしょう。 作者のつぶやき 樋口 佳絵 Kae Higuchi 主な個展 主なグループ展 全文提供:キドプレス 会期: 2011年10月29日(土)~2011年12月3日(土) |
最終更新 2011年 10月 29日 |
物憂げだったり、孤独だったり、我が物顔だったりする子供の風情が、繊細な銅版画の線で掬いとられている。また、大きな画面に明るい色調で描かれているが、詩的な雰囲気を醸しだす絵画も見逃せない。
小作品ながら印象的なのは、子供が意識をしているとしないであろう表情を捉えている版画作品だろう。観ていると、回りの子供の姿や、小さい頃、誰しもが見ていながら忘れていた友達の表情を思い出すのではないだろうか。よく観ている作者の目と感受性が生みだす世界に静かに入り込みたくなる展示である。