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小川待子:生まれたての<うつわ>
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 15日

《2011-TO-9》2011年 | 磁土、ガラス釉 | 54×62×24cm | Copyright© Machiko Ogawa | 画像提供:豊田市美術館

詩がかたちを持つとしたら、このようなすがたをしているのではないか。 小川待子の<うつわ>とは、これまでも様々な人々に豊かな想像力を喚起させてきました。

小川待子は1946年、札幌に生まれ、東京芸術大学工芸科を卒業後、パリでの留学時に鉱物の美しさに衝撃を受け「かたちはすでに在る」という、素材から立ち上げる原型的な考えに結びつきます。そしてその後の西アフリカでの制作の経験は、他の日本の作家とは異なる独自のスタンスでの陶芸制作にとって決定的なものとなりました。

人が何かをすくい取り、水などをたたえておくもの、そして大地から生成し大地に帰ってゆく存在。その<うつわ>は収縮と拡散のぎりぎりの均衡のなかで、あえて亀裂を見せながらも、その内部に透明な釉薬を輝かせています。その中に包まれ、隠し、たたえる場は、華美で洗練されたこの国の「伝統的な」工芸を超えて、造型としての原型体をわれわれに示しています。その造型とは、人の作るものの原始的な創生を想起させるとともに、永遠の詩的存在としても見ることが出来ます。

小川はこれまでも草月美術館(`91)、神奈川県立近代美術館(`02)等でも展観してきた作家ですが、本展覧会は、このような小川のこれまでの代表的な作品と新作によって、その特筆すべき作品を見つめるとともに、作家の画期となるような展観の試みの場にしようとするものです。

なお、新作の展示には基本的にケースは使用せず、専用台のあるもの以外は、低い台上や砂の上での展示となる予定。また関連企画として、様々な表現者と語る場を作る予定。

借用先
東京国立近代美術館、愛知県陶磁資料館、岐阜県現代陶芸美術館、草月会、東京オペラシティアートギャラリー 他、個人数件

講演
9月18日(日)「小川待子―垂直の水」
峯村 敏明(美術評論家)
会場:美術館 講堂

対談「作家の見た小川待子」
①10月22日(土)
長澤 英俊(彫刻家)×小川 待子
会場:美術館 講堂

作家トーク
11月3日(木・祝){小川待子の芸術」
小川 待子(聞き役:天野 一夫)
会場:美術館 講堂

アーティスト茶会・小川待子の茶席で茶を喫する
11月20日[日]11:00~、13:30~、15:30~(各・限定15名×3回・11月1日より電話受付、先着順)
会場:美術館内 童子苑<会費:1000円>
―作家所蔵のアフリカの仮面、鉱物等を床の間に置き、小川待子の茶碗で茶を喫することの出来る貴重な機会。小川待子作品 ―15碗、水指、香合、を使用予定。

対談「作家の見た小川待子」
②12月23日(金・祝)
講師:李 禹煥(美術家)×小川 待子
会場:美術館 講堂

※茶会以外無料。ただし茶会・ワークショップ以外、いずれも当日正午よりほ本展チケット半券をお持ちの方に整理券を配布します(定員172席)。

全文提供: 豊田市美術館


会期: 2011年9月17日(土)~2011年12月25日(日)
会場: 豊田市美術館

最終更新 2011年 9月 17日
 

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