齋藤陽道:絶対 |
編集部ノート |
執筆: 田中 みずき |
公開日: 2011年 8月 03日 |
今日、一番初めに観たものを思い出せるだろうか。天井か、寝具か、家族か、様々な答えが返ってくるだろう。しかし、何を見るにせよ、目が一番最初に触れるのは、光である。光が無ければ、私達は、色も形も捉えられない。 齋藤の写真では、被写体が太陽の光を背負って撮られている。強烈な逆光で、撮影されていた人物の顔面が白く抜けている。光によって画像が固定される「写真」というものが、光によって対象が消されるというパラドックスに、面食らう。しかし、その写真には何も写っていないわけではない。目が被写体を捉える一瞬前の時間が固定されているかのように見える。あるいは、見つめ過ぎて、観えなくなっているのかも知れない。 作品を観ていると、光が様々な表情を想像させ、愛しい存在を思い出すことになるだろう。様々な思いを鑑賞者に抱かせる、豊かな写真展だ。 |
最終更新 2015年 11月 01日 |