| EN |

服部公太郎:デブリ / 症
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 1月 30日

《事故のオブジェ》2009年、写真/ホットメルト、10.5×8×4 cm copy right(c) Tamami KUBOTA / Courtesy of hpgrp GALLERY TOKYO

服部公太郎は1977年岐阜県に生まれ、01年東京芸術大学卒業、05年同大学院を修了する。在学中から積極的に公募展に出品。99年アーバナート#8審査員特別賞、07年「ひとつぼ展」グランプリ受賞など、入選・入賞多数。本展では“デブリ/症”と題し、様々な事象を美術の名の下に同列に並べようと試みる。立体や平面作品約15点を展示予定。

作家コメント
始めに対象への尊敬があり、そして所有欲が生まれます。
物質なら手に入りますが、形がなければ、作らなくてはいけません。
対象が大きすぎるなら、小さくしなくてはいけません。

作家へのインタビューより

●今回の「デブリ/症」とは :
「デブリ」とはスペースデブリ(宇宙空間に浮遊するゴミ、人工衛星の破片等の人為的な物質)から来ています。目的も価値も失ってしまい、ただ浮遊している物資という所に魅かれました。デブリが失った価値がもしも美術的価値だとしたら、デュシャンの便器もデブリになりえると。その空間では価値基準がフラットになって、ただ、「デブリ」という存在になる。そんな状況が悲しくもあり、魅力的だなと思いました。現代美術家は僕も含めて、価値、概念という言葉と格闘しています。そういった歴史に対するメタ的な(一つ上の概念)、超暴力的な言葉としてすばらしいと思います。
それに対して「症」という言葉は、イタリア留学中の経験から、僕自信へのキーワードとして付けました。「症」とは「病」ではありません。「症」(否病)とは現代の日本人としてのキーワードとして重要な言葉だと思います。
今、自分として重要なキーワードを並べることで今回の展覧会タイトルとさせていただきました。

●「事故のオブジェ」について
これは前回の個展「物(モノ)」で出品した丸めた紙のシワにドローイングした作品の流れにあります。美術作品の一つの重要な要素として「複雑性」があります。それを出す為に画家はマチエルを重ねることもある。紙のシワというのは自分ではコントロールできない(しかも力学的な要素にも左右される)マチエルです。それを作品というジャンルまで持ってきたかった。半人為、反自然のこのシワの状況を今回は車の事故として表現しています。

●「gum sculpture(ガム彫刻)」について
これは僕がガムを噛みながらそこらを歩き回り、気に入った場所にそのガムを展示するという作品です。この作品のポイントはその場所というのが、美術館及び個展会場で言う所の壁面であり、台座の上であるという所です。外の空間に展示スペースを見つける試み。ですので、ガムは彫刻として、その場で簡単な形を与えられて展示されます。

略歴
1977 岐阜県生まれ
2001 東京芸術大学美術学部卒業
2002 ベネトン[FABRICA イタリア]に滞在
2005 東京芸術大学美術学部大学院修了

Solo Exhibition
2004 「Point to Circle」 (ギャラリーROCKET/表参道)
2006 「Nameless Object」 (フタバ画廊/銀座)
2008 「物(モノ)」(ガーディアン・ガーデン/銀座)

Group Exhibition
1999 アーバナート#8 (渋谷パルコ)
2000 写真新世紀展(表参道)
2003 FABRICA in Milano salone (Milano)
2004 Aランチ (AXIS GALLERY ANNEX/六本木)
2005 俺の石膏像展 (EXPO/上野)
2006 FOR RENT FOR TALENT (三菱地所アルティアム/福岡)

Prize
1999 アーバナート#8 審査員特別賞
2000 写真新世紀展 佳作
2003 GEISAI#6 審査員賞
2006 FOR RENT FOR TALENT 入選
2007 『ひとつぼ展』 グランプリ

※全文提供: Gallery Jin Projects

最終更新 2009年 2月 20日
 

関連情報


| EN |