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佐藤好彦:捧銃 ”SASAGE-TSUTSU”
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 7月 08日

《Present Arms Arc Type Candy Apple Red》2011年 | electric guitar, urethane paint etc.|180x98x6.5cm | 画像提供:レントゲンヴェルケ | Copyright© Yoshihiko SATOH

捧銃【ささげつつ】
2002年に発表した作品「Present Arms」はあるミュージシャンに文字通り捧げる想いで制作されたのですが、その一方の試みとして、彫刻が音楽という即効性のある対極のメディアへの挑戦 でもありました。彫刻=立体という意識ではなく、観る者と空間を共有する「現物」という意味あいで成立させたいという意識。結果的に、それは ギターのもつ記号が作用点に上手く働いて、僕にとって一つの可能性を見い出してくれました。

その当時、気分転換に弾いていたギターの時間が、制作時間を上回っていることに気づいた時、この作品のアイディアが湧いて来ました。自分が本 当にやりたい事、成りたい事、また自分と社会の関係を見つめ直しました。その頃、ギターは僕にとって楽器としての機能はあまり果たしていませ んでした。どちらかと言うと、とてもパーソナルな玩具であり、製品であり、彫刻だったのです。

その製品という意味合では、特にモチーフとなったフェンダー製のギターには大量生産に適用した合理的なデザインを読み取りました。それは、 '60年頃の社会背景を想像させるもので、当時のアメリカという大国の存在が見え隠れし、僕が生まれ育った埼玉県の朝霞市に駐留していた米軍 がこうした音楽を運んで来たのではと想像しましたものです。それは決して間違いではく、'73年頃まで朝霞にはFENの基地がありました。そ して、アメリカはマシンガンや原爆という兵器によって戦争の歴史を塗替えると共に、文化としてはロックという衝撃的音楽によって日本人の美意 識を占領したのではないでしょうか。

「Present Arms」は増殖したネックをもつストラスキャスターによって象徴される、増幅されたアメリカ文化を提示することによって、そこに隠された日本の美意識を 見出そうとしているのです。
-佐藤好彦

全文提供: レントゲンヴェルケ


会期: 2011年8月4日(木)-2011年8月27日(土)
会場: レントゲンヴェルケ
オープニングパーティー: 2011年8月3日(水)19:00~

最終更新 2011年 8月 04日
 

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