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青山悟:芸術家は人生において6本の薔薇を真剣につくらねばならない
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 6月 29日

《芸術家は人生において6本の薔薇を真剣につくらねばならない》Copyright © AOYAMA Satoru, courtesy Mizuma Art Gallery

会場に並ぶのは、6点の作品。額縁に入った展示物は、一見、絵画のように見える。しかし、じっくり観ると、それが細かい刺繍で出来ていると気付く。ミシン刺繍である。黒地のポリエステル布に縫われているのは、真紅の薔薇だ。最後の一点のみ、暗闇の別室での観賞となる。糸のディテールも観賞し辛い環境だが、縫いこまれたキラキラと光るメタリック糸が映える演出だ。薔薇という、エロスや美しさ等の様々な意味を持つ花と、キッチュな「薔薇のミシン刺繍」という存在と、場末の飲み屋の中での光を孕んだ存在とが、多様な薔薇像を鑑賞者に導く。

様々なコンセプトが入り込み、作品の全体像を読み込むのが少々難しいが、まず眼の前の精緻な刺繍を観ることで鑑賞者の思考を促す展覧会だろう。

最終更新 2015年 11月 02日
 

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