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陳若冰:紙の仕事
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2008年 12月 02日

copyright(c) Chen Ruo Bing.| Courtesy of taguchi fine art

陳若冰(チェン・ルオビン)は1970年中華人民共和国生まれ。杭州美術アカデミーで書と水墨画を学んだ後、1992年に渡独、1998年にデュッセルドルフ美術アカデミー、G. グラウブナー教室を修了しました。2000年にはアーティスト・イン・レジデンス・プログラムで数ヶ月間、アメリカ・コネチカットのジョセフ・アンド・アニ・アルバース財団に滞在。現在はドイツ、デュッセルドルフと中国、北京にスタジオを構え制作活動を続けています。

陳若冰はデュッセルドルフ美術アカデミー在学中から、単純な幾何学的形態を反復してキャンバスに不規則に描き、「地」と「図」を等価関係に置く絵画作品を制作してきました。これは彼が身につけた中国絵画の伝統と、現在そのなかで暮らす西欧近代とを作品のなかで統合しようとする試みです。奥行きを浅くした装飾的ともいえる絵画空間と水墨画を思わせるアクリル絵の具の微妙な滲み、画面内奥から作品外部に向かって溢れ出るかのような形而上学的な光、深い精神性を湛えながらもどこか楽しげな形態と色彩、これらによって陳若冰は独特の魅力的な作品を生み出します。

15年以上におよぶドイツでの生活を経験した現在、ヨーロッパ文化のなかで制作する中国人画家というその基本的な立場こそ変わりませんが、陳若冰は中国絵画と西洋近代絵画の対立という構図を軽々と飛び超え、すでに独自のスタイルを獲得することに成功したといえます。

2005年には上海美術館で個展を開催、2006年には中国浙江省嘉興市に彼の作品と中国の古美術品のみを展示する陳若冰美術館が開館、また日本では資生堂ギャラリーにおける「An Existence 素景」展にも出品しています。2008年春には韓国ソウルのコング画廊、上海のウェルサイド画廊で個展が開催されるなど、近年陳若冰の活動はヨーロッパのみならずアジアでも活発になってきました。

今回で5回目となるタグチファインアートでの展示は、紙に油彩で描いたモノクロームの素描作品が中心となります。滲みを伴って生み出される形態や空間に、中国伝統絵画や書を学んだ彼の制作の原点を見い出すことができます。

※全文提供: タグチファインアート

最終更新 2009年 1月 17日
 

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