編集部ノート
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執筆: 結城 なつみ
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公開日: 2011年 6月 01日 |
明治から平成までの、洋画家(一部創作版画家)54人が20歳頃に描いた作品を一堂に集めた展覧会。「二十歳の原点」とは、高野悦子の日記をまとめた書籍のタイトルである。1969年、学生運動のさなかに彼女は20歳で自ら命を絶った。 この展覧会にも田中恭吉、村山槐多、関根正二ら「夭折の画家」の作品が陳列している。その一方で、熊谷守一や中川一政ら長寿の画家や、野見山暁治、横尾忠則、草間彌生、靉嘔、森村泰昌、大竹伸朗、O JUN、会田誠、山口晃といった現在活躍している画家たちの若描きも展示されていて面白い。作品にはキャプションとともに、画家自身の言葉や回想が添えられている。時代順に展示されており、日本の洋画史を俯瞰するような構成だ。 それぞれの時代を反映し様式は大きく違うが、通底する「未熟」「孤独」「苦悩」といった若年期独特の響きは、観る者に懐かしさ、もしくは陰鬱な感情を呼び起こすだろう。しかしながら、多くの作品は二十歳そこそことは思えない筆力に満ち、驚かされる。また、後年の作風と大いに異なる画家もいる。若さゆえの意欲、集中力、体力、発想力などにも注目したい。
今後の巡回予定は、下関市立美術館(2011年6月18日~7月31日)、碧南市藤井達吉現代美術館(2011年8月9日~9月19日)、足利市立美術館(2011年9月25日~11月13日)
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最終更新 2011年 6月 01日 |