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日野田崇:新しい筋肉
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 5月 23日

Alternative Muscles/Ceramic/h117*50*90cm/2011/Photo:Kazuo Fukunaga
画像提供:イムラアートギャラリー

セラミック・アーティストの日野田崇(1968 神戸市生まれ)は1991年に大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸コースを卒業し、現在は京都嵯峨芸術大学芸術学部の准教授です。国立国際美術館にコレクションされ、国内のみならずアメリカ、スウェーデン、クウェート、ソウルなどの 展覧会にも参加する注目の作家です。

日野田は、陶土に日本のマンガやアメリカンコミックのような線や図形、絵をのせて作品を作ります。作品は、造形、色、表面の図柄が混在しながらも共存しており、見る者は二次元(表面)と三次元(造形)の世界を往来します。日野田の作品は、時にわかりやすいかたちと、マンガという親しみやすい題材によって見る者を容易に近づかせますが、実は物語のない断片的な情報や、不気味にも見える図柄の集まりということに気づくと、我々は戸惑い、不穏さを感じます。愛嬌と狡猾さが同居しているようなこれらの作品は、冷静に社会を見つめる作家の批判精神を代弁しているようにも見えます。

作品に描かれているように見える絵は、実はプラスチック(カッティング)シートを切り抜き、貼ってできた図柄であり、現在の日野田の制作には欠かせない方法です。この、日野田の精巧なつくりこみが、作品に存在感と説得力を与えます。また日野田は、展示空間も徹底してつくりこみます。作品同様プラスチックシートを巧みに切り抜き、展示空間の壁、床、天井に計画的に時に自由に線や絵を描き(実際は貼る)ます。まるで作品から線や図柄が飛び出しているようにも見え、正に展示空間がひとつの世界となります。

このようにしてできあがる日野田の作品は「陶芸」という括りではおさまらず、あらゆる領域の往来を可能にしています。このような作品や展示方法は国内だけでなく海外でも評判を呼び、欧米やアジアでのグループ展にも数多く参加しています。

本展は、「新しい筋肉」と題し、日野田のヴィジョンによるこの先の人類のカタチを表現します。展示する作品約6点はすべて新作。今までにはない、紫や緑色を使用した作品も注目です。もちろん、プラスチックシートを駆使したインスタレーションを行います。2009年個展「変形アレゴリー」以来、当ギャラリーでは2年ぶりの日野田の個展を是非ご覧ください。

※京都での個展の後、東京・神楽坂のイムラアートギャラリー東京に巡回いたします。(8月6日(土)~9月3日(土))

※全文提供: イムラアートギャラリー


会期: 2011年6月4日(土)-2011年7月23日(土)
会場: イムラアートギャラリー 
アーティスト・トーク 日野田崇×小沢さかえ(画家): 2011年6月4日(土)17:00~
                    ※アーティスト・トークに引き続きオープニングレセプションを行います。

最終更新 2011年 6月 04日
 

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