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田村博文:STONE+SABI 原風景からの切り貼り
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 4月 19日

Copyright © Hirofumi Tamura
画像提供:COMBINE

作家コメント
広い河原。辺り一面を占める石・石・石。
時を忘れて無心で遊ぶ。
積み上げたり、崩したり、並べたり並び変えたり。
すべりそうな石があれば助けてやる。
お気に入りの小石は大切にポケットへ。
先人は樹・石・金属と時をかけて、その利用すべき術を手に入れた。

私はまだ樹で石を削り出し続けている。

樹は削り出すことでその樹が所有した時間を剥き出しにされる。
有機物としての樹、それと対峙する側にある石や金属

私はまだ樹で石を削り出し続けている。

樹で石をつくり、その石にメタリックな表皮を装着する。時と共にSABIがで出る。
原風景に存在するか否か不確かな時間。
樹が所有した時間。そして今、樹から磨き出した石に施したメタリックなフィルターとそれから発生するSABIと時間を共有する。

私はまだ樹で石を削り出し続けている。

田村博文
1945年 生まれ
1969年京都市立美術大学(現芸大)工芸科卒
1969~2002年インテリア・デザイン事務所にてデザイナーとして商業施設設計
2002年 工房開設
2006年 KBS京都「土曜・de・ちゅう」宇治田原探訪編に出演
2007年 「第25回朝日現代クラフト」優秀賞受賞
2009年 solo exhibition 『STONE−その不思議なる地球遺産』/ BAMI gallery KBS京都 「京プラス」出演 ABC朝日放送 「NEWSゆう+」出演 solo exhibition 『STONE−その不思議なる地球遺産』/ 高松天満屋アートギャラリー
2010年 第14回上海アートフェアー出品 『木のしごと展』/ 高松天満屋アートギャラリー

※全文提供: COMBINE


会期: 2011年4月27日(水)-2011年5月31日(火)
会場: BAMI gallery

最終更新 2011年 4月 27日
 

編集部ノート    執筆:平田 剛志


Copyright © Hirofumi Tamura
画像提供:COMBINE

    樹を素材に「石」を削りだす田村博文の個展。
    2009年の個展『STONE−その不思議なる地球遺産』では床に本物と見紛うような大小さまざまな「石」が展示されたが、今展では基本的な制作方法は変わらないが、大きな変化が見られる。まず、目につくのは色彩である。前回の個展では木肌を見せていた石に色彩が施されているのである。なかには自然界に存在しないようなメタリックな色彩もあり、意表をつく。
    そして、前回の個展では床にインスタレーションされた石たちは、今展では台座が設けられ、多くの「石」が浮遊しているのである。例えば、流木の上にキノコのように石が生えていたり、台座から茎のようなものが生えて、石を浮遊させているものもある。重さがあるはずの石が重力に抗い、植物のように上へと伸びていくようである。
    石という無機的な物質が、有機的な形態を有する田村の「石」は、2年の時を経てキノコのような菌類へと変態・成長したようだ。「転がる石に苔は生えない」という言葉があるが、田村の削りだす「石」は転がるどころか、浮遊してしまった。まだまだ作風が変化していく田村に苔や錆はとうぶん生えそうもない。


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