| EN |

新incubation3:On a Knife Edge -二つの向こう岸
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 4月 07日

松井智惠《HEIDI50》2011年
映像インスタレーション サイズ可変
Copyright© Chie Matsui
画像提供:京都芸術センター

「新incubation」は、新進気鋭の作家と現在一線で活躍するベテラン作家が向き合い、互いに触発し合うところから、今日的なアートの問題を浮き彫りにし、批評的視座を触発しようとする試みである。

「新incubation」第三回目になる本展では、松井智惠とHyon Gyon(ひょん ぎょん)が誘う微温的な日常性に対して突きつける二つの非日常的世界を展示する。怒りや哀しみ、悦びといったいろいろな感情、あるいは、記憶から呼び覚まされる心を含む身体的な感覚は論理的に整理することは困難であり、それらを顕わにすることにも苦痛が伴うことを承知しながら私たちの多くは暮らしている。松井とHyon Gyon がモチーフにする非日常的世界はそれぞれ異なるが、人の内面的な叫びや、人が抱える精神的な痛みを率直に表現する。私たちが制御しようとする問題であるアイデンティティや奥底に沈む記憶を暴き出し、作品を通して強く問いかける。

本展においては、人間が本質的に抱え持つ合理的には理解することのできない問題を視覚的に捉えると共に、両作家の作品を通して、アイデンティティ、記憶などの問題を考える契機としたい。

松井智惠(まつい ちえ)
80年代、インスタレーションを確立させた作家として松井智惠は知られており、以来国内外の大規模な展覧会にも多数出品してきた。2000 年に入ると、映像による「Heidi(ハイジ)」シリーズを発表し始める。寓意の創造とその背景にある人間存在に関わる普遍的な問題をあぶり出そうとしている。

Hyon Gyon(ひょん ぎょん)
韓国出身のHyon Gyon は、韓国巫俗信仰に強く影響を受けている。巫俗信仰の中のシャーマンである「ムーダン」の体験と、巫俗信仰の儀礼「クッ」を探り当てるなかから自作を展開している。表現形式は、サテン地を重ねた顔に傷を入れた平面から自身のパフォーマンスをヴィデオ映像にした作品まで多岐にわたる。いずれも狂気にも近い彼女の世界は見る者に強烈な衝撃を与える。

 

関連企画

①アーティストトーク
日時:6 月 4 日(土)16:00-18:00(予定)
会場:京都芸術センター ミーティングルーム 2(南館 3 階)
出演:松井智惠、Hyon Gyon、森口まどか(京都芸術センター運営委員)

②対談「松井智惠とふるさかはるか」
日時:6 月 19 日(日)16:00-18:00(予定)
会場:ギャラリー南
出演:松井智惠、ふるさかはるか(木版画家/空中山荘主人)

対談「Hyon Gyon と呉夏枝」
日時:6 月 25 日(土)16:00-18:00(予定)
会場:ギャラリー北
出演:Hyon Gyon、呉夏枝(Haji OH) (美術家)

料金無料、事前申込不要

※全文提供: 京都芸術センター


会期: 2011年5月31日(火)-2011年7月10日(日)
会場: 京都芸術センター

最終更新 2011年 5月 31日
 

関連情報


| EN |