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上野王香:offering
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 3月 25日

画像提供:Port Gallery T
Copyright© Ooka Ueno

作家コメント
死魂(ヒーマブイ)を天国まで送り届けるために、 私は周りにあるすべての命を集めて 骨の横に供える事にしました。 そうするとすべての不思議は溶け出し この世界にある恐怖も去ってゆきました。

上野王香(Ooka Ueno, うえのおうか)
1982年 大阪生まれ
2004年 Wimbledon School of Art, London 卒業
現在、ロンドン在住

個展
2009年 somatid/Port Gallery T/大阪

グループ展
2007年 KAFKA International 入選者展/AVA Gallery/London
2008年 DOOR//Port Gallery T/大阪
2010年 WORKS#04/Port Gallery T/大阪

入選
2007年 KAFKA International/LONDON

上野王香はこれまで一貫してコラージュの手法で作品を制作しています。用いる素材は、紙と糊のみで、主に雑誌などの印刷写真を切り抜いています。上野が「パーツ」と呼ぶ、それら切り抜かれた素材はあくまで部分の域を出ず、自立することはありません。上野の手で接合され「部位」となるまで、何年もパーツ BOXの中で待っているものが多々あると言います。パーツの収集に始まる制作への探求心と、ハサミを用いての“技”で息を吹き込まれた部位たちは、上野の感性によっていっきに物語をつむぎだします。2007年には、チェコ出身の作家フランツ・カフカ、及びその著作からインスピレーションを得た作品によるコンペティション・KAFKA International(ロンドン)にて、作品『THE METAMORPHOSIS』が入賞しました。

上野作品の特徴は、卓越した手業はもちろんのこと、有るか無きかの世界、物語の視覚化にあります。そのイメージは、シュルレアリスムの系譜のひとつと組みされてもおかしくはありません。しかし、上野のコラージュ作品がシュールな要素を含みながらも、知的で品格すら漂う作品として立ち上がるのは、真摯に慈しみをもって "いのち" を見つめていることにたどり着くからかもしれません。日常生活と繋がったまなざし、そこから生み出されるお話と創造に、私たちは見つめる悦びと想像する楽しさに誘われていきます。

新作個展となる本展は『offering』と題され、ロンドンで制作した新作約20点を展覧。ギャラリーの春の企画展となります。独自のビジュアル世界、物語に、触れていただきたいと思います。作品との出会いを楽しみに、ぜひお出かけください。

補記:「展覧会がはじまって」
昨年から準備をすすめてきた上野王香展「offering」の扉をひらきました。静かに差し出された作品を前に、対話するような時間がつづいています。思わず見入ってしまうイメージ、ながく、愉しんでまなざしを向けてくださっています。夢中になって何かを見つめ、その先に、悦びや面白さ、穏やかな調べが結びつくことが、純粋に嬉しく励まされてもいます。

ひとりでも多くの方に届きますように。
日曜日はお休みをいただきますが、上野王香「offering」は、冬から春へ。
花が咲き草木が芽吹く4月16日(土)まで、扉をひらいてお待ちしています。

※全文提供: Port Gallery T


会期: 2011年3月22日(火)-2011年4月16日(土)
会場: Port Gallery T

最終更新 2011年 3月 22日
 

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