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森山大道:RECORD NO.18 -Taipei-
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 2月 28日

Copyright © 2010 daido moriyama|画像提供:artdish g

台北の市街区「林森北路(リンセンペイルー)」を、たとえば新宿あたりに当てはめてみると、歌舞伎町の外れから職安通りへ、そこに百人町をくっつけたような、大通りと裏路地と、商店街と宅地とが雑然と混在するぼく好みの一帯であり、日本名を連ねた酒場街まであった。

一昨年あたりから、台湾の出版社が、ぼくの写真とエッセイを合体させて三冊もの本を発行してくれて、そのことにからめて、いくつものプレス・インタヴューと二つのトーク・タイム、そしてギャラリー展などを企画して、ぼくを台湾に招待してくれたのである。ぼくとしても、そうした出版社や書店への感謝の思いがあったから、むろん誘いに応じた。

三日間びっしりと組まれたスケジュールのなかに、やっと3~4時間余りのすき間を作ることが出来たので、ぼくはこれ幸いとばかり、「記録」誌一冊分の写真を撮り下ろしてみたくなり、すっかりその気になってしまった。しかし、限られた時間であれば、限られた場所を撮るしかないわけで、台北の知人たちからあれこれと話を訊き、「林森北路」に狙いを定めたのだった。ただ、その撮影時にもテレビ局の取材クルーが付いていたので、好き勝手にというわけにもいかなかったが、台北の裏町や路上の人々の体温が、きわめてぼく自身に近い皮フ感覚だったので、新宿を写す折りとほとんど変わらないカメラ・ワークとフット・ワークのままに路上をウロつくことができた。

台北の街区には、しっとりと暖かい雨が降りこめていた。
<『記録18号』あとがきより>

※全文提供: artdish g


会期: 2011年3月3日(木)-2011年4月17日(日)
会場: artdish g

最終更新 2011年 3月 03日
 

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