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MOTアニュアル2011:Nearest Faraway|世界の深さのはかり方
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 12月 27日

八木良太 《Sound sphere》 2010 ミクストメディア

「MOTアニュアル」は、東京都現代美術館が、日本/東京の美術の新しい動きをグループ展形式で紹介するものとして1999年より毎年行っているシリーズ企画です。11回目となる本年は、「Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」を副題に、さまざまなビジュアルイメージが溢れアートの姿も急速に変化する現代にあって、あらためて、私たちのよって立つところを問うような作品を生み出している6人の作家を紹介します。

本展で取り上げる6人の作家たちは、身の回りにある、特別なものではなく誰でも簡単に手に入る素材と、シンプルな技法を用いる作家たちです。けれども、そのシンプルさはそれぞれ独自の明確な方法論に支えられており、その作品からは、「見ること」や「聞くこと」また「作ること」、そして「時間」や「空間」といった、いわばさまざまな事象の成り立ち自体を問うような姿勢を感じることができます。繊細さや時にユーモアとともに、一種ストイックな手触りと奥行きをもつ彼ら/彼女らの作品は、私たちを支えるこの世界の深さと豊かさを様々な仕方で垣間見させてくれるでしょう。

本展は、もっとも近いところに端を発しつつも、彼方まで射程を持つような作家たち固有の想像力、語彙/方法、行為自体を、いわば“術”としてのアートと捉え、その実践を見つめる試みです。私的な閉じた世界観、未来を先取りするような貧弱な想像力と効率への志向がもっぱらとなり「待つ」ことができなくなったといわれる現代ですが、そのような時代にこそ、自らの手であらためてより根源的な世界の成り立ちに触れようとする作家たちのその“術”が、重要な気づきと励ましを私たちにもたらしてくれるのではないでしょうか?そのような願いとともに本展が私たちの時代の「アート」の一つの可能性をさぐる契機となれば幸いです。

出品作家(敬称略・五十音順):
池内晶子|椛田ちひろ|木藤純子|関根直子|冨井大裕|八木良太

※全文提供: 東京都現代美術館


会期: 2011年2月26日(土)-2011年5月8日(日) ※3月21日は開館、翌日休館
会場: 東京都現代美術館

最終更新 2011年 2月 26日
 

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