高田光治 展 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 12月 16日 |
右作品「イワノヒメ」は、古事記の物語がモチーフです。 ―――姉妹が同じ夫に嫁ぐという習慣があった時代、神の子孫「ニニギ」が美しい娘「サクヤ」にひと目惚れし求婚し たので、娘の父は姉の「イワナガ」と共に献上しました。ところが「ニニギ」は、美しい「サクヤ」のみを妻にして醜い「イワナガ」を送り返してしまったのです。「ニニギ」の命が岩のように安泰で長くあるようにとの願って嫁がせた「イワナガ」を送り返したために、「ニニギ」は神の子孫でありながら人間と同じ短い寿命になったということです。 漆黒の海に浮かぶ岩は「イワナガ」を、白い花は「サクヤ」を黒い小舟で海を流されていく人物は「ニニギ」を象徴しています。最期の時を静かに受け入れようとしている「ニニギ」は何を思っているのでしょう。 高田さんの作品の前に立つと、「メメント・モリ―いつか必ず死が訪れることを忘れるな―」というメッセージがいつも心に浮かびます。一日一日を大切に生きていても、漫然と過ごしていてもいつか必ず訪れる「死」。その時までどのよ うに生きるかをあらためて自分に問いかけてみたくなる不思議な力を持った作品です。 何かとお忙しい日々とは思いますが、行く2010年を惜しみつつ、心静かなひと時を過ごしていただきたいと思います。 全文提供: ギャラリー風 会期: 2010年12月13日(月)-2010年12月25日(土)会期中無休 |
最終更新 2010年 12月 13日 |