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野口一将:Cosmic Harbor
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 12月 07日

展示イメージ|courtesy of nonaca K.K.

今日と連続的に繋がっている断絶された未来。 限りなく近い所に広がっている、限りなく遠い世界。 季節ごとに感度の高いアート作品を紹介していく横浜ベイクォーター 「ギャラリーBOX」。18回目にあたる今期は、美術家であり建築デザイ ナーの野口一将が取り組みます。

動物の有機的なフォルムを幾何学的に解釈したオブジェのシリーズは、2 次元、3次元上での設計を繰り返しながらかたちを現わします。 平面とエッジを強調した動物たちによって構成されるリズミックな空間 は、奥行き感を惑わすギミックが見所です。

ベイサイドエリアにリンクする ”Cosmic Harbor”(広大無辺の港) 本展では、客船の形をした横浜ベイクォーターを一基の宇宙船、ギャラ リーBOXのウィンドウを宇宙船の窓とみたて、広大に広がる宇宙空間を 演出。 限りなく近い所に広がっているようで、限りなく遠いある世界が、ギャラリー通路に点在する窓からこの場所とリンクします。

手を伸ばしたら届くと思った。
月を見ながら追いかけて、手を伸ばして掴もうとしたら逃げていく。
追いかけたら逃げて行き、追いかけるのを止めたら月は逃げるのをやめた。
横浜のベイクォーターの小道に小さなショーウィンドウがある。
通常は、小道を歩く人が、小さなウインドウの中を覗くという関係になる。
この関係を反転させる。
例えば宇宙船の窓から宇宙を見ると、小さな宇宙船のまどから巨大な宇宙空間を覗くという関係になる。大 きく広がる世界を小さな窓から覗くという関係をつくる。
得体の知れない大きく広がる世界があって、その世界はベイクォーターのショーウィンドウからだけ覗ける、 という関係を作ってみる。
このショーウィンドウから、もう少し視点を引いて見て横浜という街を見てみると、古くは鎌倉幕府が置か れ日本の中枢として機能し、港を通して常に諸外国と日本を繋ぐ窓口になって来た場所である。海から運ば れた人、物が陸に上がる分岐点でもある。部屋と外、横浜と日本、日本と世界、海と陸、いくつか階層の違 うスケールを横断した境界上にこの窓があると言える。関係性のやりとりが行われている出入口とも言える。
この小さな窓から、向こうに広がる大きな世界の一部を垣間みるという状態を作る事を試みる。
向こうに広がる世界は、こちらと違う何かに支配されているように見えるが、それが何かはわからない。
向こうに広がる世界は、こちらと似た何かを持っているように感じられるが、それが何かはわからない。
そこは今日と連続的に繋がっている断絶された未来。
限りなく近い所に広がっている、限りなく遠い世界。

-野口一将

野口一将 Kazumasa NOGUCHI
美術作家として平面作品からインスタレーション作品まで、空間。カフェなどのパブリックスペースでの作 品展示も多数経験。デザイナー、建築家として多数の建築、インテリア、グラフィックデザインも手がけ る。

1978 香川県生まれ
2001 東京芸術大学 美術学部 建築学科卒業、卒業後、青木淳建築計画事務所を勤務を経て、独立 2008 建築デザイン事務所「ザ・ドキュンカンパニー」設立

個展 2009 So Close, Yet Not So Far / 中落合ギャラリー 東京、So Close, Yet Not So Far Tour / タイムアウトカフェ&ダイナーギャラリー 東京
2005 Small Impact / 中落合ギャラリー 東京

グループ展
2010 Urban Inscription / アインシュタインスタジオ 清澄白河
2010 Calm / MEGUMI OGITA GALLERY 東京
2010 No Man's Land / フランス大使館 広尾
2009 Tokyo Contemporary Art Fair / 東京美術倶楽部 新橋
ほか多数

全文提供: 横浜ベイクォーター ギャラリーBOX


会期: 2010年12月6日(月)-2011年2月28日(日)

最終更新 2010年 12月 06日
 

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