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中村協子:アナログなダビング
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 22日

画像提供:eN arts|Copyright © Kyoko Nakamura

私の制作は心惹かれるモチーフを紙に写し取ることから始まります。
スケッチし、写し取っていく長い時間の間に、それらは当初のイメージから少しずつずれて、時には他のイメージと繋がり思いもかけない作品に仕上がったりします。
「手で写し取る」というアナログな手法の可能性を少しでも広げることができれば幸いです。

-中村協子

GEISAI #11 にて フィリップ セガロ審査員賞、グランプリ賞をダブル受賞した中村協子個展「アナログなダビング」を開催致します。日常見聞きしたものや感じたことをつらつらと描いた絵日記のようなドローイング。ユーモアに溢れた台詞やテキストも書き込まれていて思わず微笑んでしまいます。そこには様々な時代背景や社会背景を反映させる小気味良い皮肉が混在し、鑑賞者に体験や感情を思い起させる不思議な魅力を持ち合わせる作品群です。そして中村の意図するところはもう一段深く掘り下がったところにあります。中村曰く「過去の想い出 ・・・実は自分にとって好都合な想い出の断片が、都合の良い画像や言語に翻訳されて存在するもの」それは中村のドローイング制作スタイルに酷似していることに注目して下さい。中村はお気に入りのデザインやモチーフを見つけるとそれを模写し始めます。その過程で、彼女自身の解釈や嗜好が加わり、独自のドローイングへと変化していくというスタイル。一字一句、緻密な線や書き込み、果てはシミ・汚れまでも完璧に複製するデジタルダビングとは異なり、バービー、ツイッター、ゴーギャン etc.から得たイメージやモチーフに、ともすると実際のイメージとは脈絡も関係性も無い言語を書き込んだドローイングは、本展のタイトルでもある「アナログなダビング」により、中村が取り込んだモチーフからは孤立したまったくオリジナルなイメージに創り上げられているのです。彼女の作品群は私達の記憶や情報の曖昧さを浮き彫りにしてくれます。数々のドローイング作品に加え映像、その他のメディアによる新作を一気に発表致します。どうぞご期待下さい。

※全文提供: eN arts


会期: 2010年12月3日(金)-2010年12月26日(日) 金・土・日 12:00-18:00 開廊
オープニング・レセプション: 2010年12月4日(土)18:00 - 20:00

最終更新 2010年 12月 03日
 

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