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会田誠:絵バカ
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2010年 5月 22日

絵画と映像の新作展。知名度の高い作家の個展であり、現代美術に関心が高い方にお勧め。

作品は、出身大学「芸大」に昔から伝わる裸体での宴会芸を女性が行う映像や、肩の力を抜いて落書きのように描いたもの、男性の死体が山積みになる状景を遠方から描いた巨大な作品や、やはり壁一面を覆う一万円札のコピーの上に体液のようなものが飛び散る絵画などが並ぶ。作風は一見、悪い冗談のように見えるかも知れないが、作家自身の過去作や、赤瀬川源平等の現代美術の歴史を意識させる内容になっている。

作品を観るには、美術の歴史を熟知した上で新しい表現を生み、「子供のような絵を描いている」とも評されたピカソに重ねて、21世紀版和製ピカソというように捉えると良いのかもしれない。作家自身が現代美術の制度を批判しつつも、逆接的にその文脈に頼り、美術史に詳しい鑑賞者にしか理解できないというハードルを隠している点も重なるか。東京日比谷のギャラリー・高橋コレクション日比谷で開催中(8月8日まで)の「会田誠+天明屋尚+山口晃」展に並ぶ同作家の過去作と比較しても面白い。

最終更新 2018年 2月 23日
 

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