展覧会
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執筆: カロンズネット編集
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公開日: 2010年 6月 07日 |
作品を見る前に文章を書いてみたい。そんな誘惑に駆られる。それが川端作品だ。10年前、京都で見た作品は、ギャラリーの床いっぱいの穴だった。うつろな土の穴。19世紀に写実主義という革命を起こしたクールベの絵画《オルナンの埋葬》(1850年)の中心にある穴を見て、川端を思い出す。作品の内と外が転回するような物質や時空のもつダイナミズム。クールベにあやかり、それを「埋葬」と呼ぶならば、埋葬されるのは、消費社会のオブジェであり、その埋葬の儀式こそがアートなら、彼の作品こそ、現代の大阪のアートと言えるだろう。 永草次郎:本展キュレーター、美術批評(帝塚山学院大学教授)
川端 嘉人 1954 大阪に生まれる 1979 京都市立芸術大学美術学部卒業
主な個展 1983 信濃橋画廊〈1984・1985 大阪〉 1988 Kawaramachi Street no Omosa Plan2/ギャラリーマロニエ 〈京都〉 1992 Espace446 〈1994 大阪〉 1992 ギャラリーヤマグチ 〈1997 大阪〉 1996 ART-EX Atelier am Eck 〈デュッセルドルフ/ドイツ〉 1997 ギャラリー池田美術 〈東京〉 1998 N Company Project 〈兵庫〉 2000 Galerie Weissraum 〈京都〉 2007 Plan.d. 〈デュッセルドルフ/ドイツ〉
主なグループ展 1984 第4回架空通信テント美術館展 〈夙川公園/兵庫〉 1986 アート・ナウ’86、アート・ナウ’94 〈1994 兵庫県立美術館/兵庫〉 1993-2010 年始展 〈Espace446/大阪〉 1993 メタリック・ワークス 〈ギャラリーヤマグチ/大阪〉 1998 オープニング展 〈Clean Sisters Gallery/大阪〉 1999 オープニング展 〈SUMISO/大阪〉 2001 BOX ART展 〈2002 新潟市立美術館/新潟、高知県立美術館/高知〉 2005 CLEAN BROTHERSの術 〈SUMISO/大阪〉 2008 現代作家立体小品展 〈wacoal ginza art space/東京、ギャラリーマロニエ/京都〉 2008 Pittenween Arts Festuval2008 〈ピットウィム/スコットランド〉 2009 Exhibition of nature and eco 〈ケルン/ドイツ〉
※全文提供: 特定非営利活動法人 キャズ(CAS)
会期: 2010年7月17日-2010年8月7日
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最終更新 2010年 7月 17日 |
編集部ノート 執筆:平田剛志
川端嘉人の国内では10年ぶりの個展が大阪・CASで開催されている。ギャラリーに入ると、コンクリートブロックが三方に建てられた空間が作られている。無味乾燥なコンセプチュアルな展示に見えるかもしれないが、そのブロックの中心に佇むとブロック塀のざらざらとした肌理が絵画的に見えてくる。川端がギャラリー空間に築いたブロック塀は、物理的には空間を仕切り、観客を囲むが、感覚の回路は開かせられる空間である。
それにしても、このような作品が実現できてしまうギャラリーのポテンシャルにも驚きを感じる。