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レオネル・マチュー:PACIFIC TIME
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 19日

画像提供:ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート|Copyright © Leonel Matheu

大きな顔のキャラクターが飛行機や車の中に埋まっている。苦悶の汗をながす顔が半分だけ見えている。マチューの作品の特徴は、圧倒的なパワーを持つラテン・アメリカ的な要素に西欧的モダニズムが融合した色使いや構図と、社会に対する批判性を有しながらも詩的な物語性を合わせ持つところにあります。作品の中に登場するキャラクター達に託す想いは、自分が追い求める自由、希望、感謝、尊敬といった気持ちや、現代社会に対する警鐘です。そこには何かをえぐり取る様な鋭利さや激情さはありません。あくまでも作品の中に物語があること、詩的であることを大事にしています。だからこそ、彼の生み出す作品は素朴であり、ユーモアがあり、どこか懐かしさを感じさせ、親しみの気持ちを持って鑑賞出来るのです。

レオネル・マチューは、1967年キューバのハバナで生まれました。幼少時に暮らしたハバナは、暴力と破壊行為に満ちた世界で、幼かった彼はその悪夢のような日常の中で音楽や空想の世界に救いを求めていました。恐怖やぜんそくで震えながら、自分の気持ちを心の中の絵本に描きためていったのです。11歳の時、ピカソのゲルニカを見たレオネルは、言葉ではなく絵画でメッセージを伝えることが出来ること、言葉を発しなくても人は通じ合えることに衝撃を受けました。その後、様々なキャラクターを視覚的なアルファベットと位置付け、「絵画で会話をする」ようになりました。ハバナ・デザイン学院を卒業後、22歳の時(1992年)にキューバからアメリカに亡命し、マイアミに居を移しました。アメリカに渡り人々が自由に意見を表現できること、表現する喜び、自由である喜びを知ることでアーティストとしての才能を花開かせます。現在もマイアミを拠点に、アメリカだけでなく世界各国で個展やグループ展を開催し、MOCAなど多数の美術館などにパブリック・コレクションとして収められています。

「鑑賞者にはそれぞれの解釈で感じて欲しい」とマチューは語っています。現代の神話のような遊び心に満ちた作品の数々は、矛盾をはらむ現代社会や人間に対する彼なりの回答なのかもしれません。

日本初個展となる本展では、キャンバス作品やドローイング、ビデオ作品や看板を使ったパブリックアートといった多様な表現方法を体感していただく予定です。ぜひご高覧ください。

※全文提供: ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート


会期: 2010年7月15日(木)-2010年8月28日(水)

最終更新 2010年 7月 15日
 

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