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J
アートワーク
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2009年 10月 05日

copy right(c)Natsunosuke MISEcopy right(c)Natsunosuke MISE

全国の美術関係者推薦により40歳以下の平面作家の作品が集められる「VOCA展」。大賞である2009年度のVOCA 賞受賞者が三瀬であり、受賞作品が≪J≫だ。近年の墨を基調にした作品に比べると、大胆なコラージュや緑青を用いた画面構成、それからUFOやネッシー、五重塔、大仏などのモチーフはむしろ以前の作品を想起させる。「J」と呼ばれる巨人もまた≪奇景≫(2003年〜)から見られる存在だが、画面の主役に躍り出たのは2008年の個展「J」(イムラアートギャラリー)からであり、そのときには二曲一双の屏風作品と今回のような横長のフォーマットの作品が発表されている。

巨人の姿形自体は日本の初代天皇として考えられている神武天皇を元にしているものの、三瀬が「J」とその所在の在処を濁しているように、それは神武天皇だけを意味するわけではない。不安定なタイトルの一方で作品は確固とした存在感があり、混沌とした画面の左奥から迫り来る「J」はさながら破壊者であり創造者のようだ。


作品詳細

アーティスト:  三瀬夏之介
制作年:  2008年
種類:  絵画
所蔵:  第一生命保険相互会社
材質:  和紙、墨、胡粉、金属粉、金箔、染料、アクリル
サイズ:  250.0×400.0cm
特記事項:  VOCA賞受賞作 「現代美術の展望 VOCA展2009-新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館、2009年3月15日〜30日)
掲載画像:  (提供)三瀬夏之介

最終更新 2015年 11月 01日
 

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