Botanical Sculpture #1 Assemblage |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2008年 11月 24日 |
4mの幅に、結束バンドによって様々な花/植物が組み合わされている。後にも続いていく「Botanical Sculpture」(植物彫刻)シリーズの、最初のテーマは「Assemblage」(組む)。量感がありながらリズミカルな配置が楽しい作品になっているが、様々なフォルムからなるこの連なりの中でとりわけ異彩を放ち、けれども重要な働きをしている植物があることに注目したい。白菜である。 鑑賞の対象ではなく食材として、今回使われた素材の中でおそらく最も馴染みのあるその野菜は、食材というフィルターが外されたときにその存在感を際立たせる。全体を眺めると、今回の素材は濃淡の差はあるものの、そのほとんどが緑を基調にしている。だから、もしそこに白を基調にした白菜がなかったら、と考えてみてほしい。横並びであるということも作用して、そうして作られた作品はおそらく、重々しく平板な印象を与えるものになってしまっていたことだろう。だから彫刻といいながらもこの作品は、その形態だけではなく色彩のバランスにも関心が及んでいるという点で、そして絵巻物のごとく端から端へ軽妙なリズムを奏でているという点で、きわめて絵画的な作品ということができる。なお、東の敬愛する花人・中川幸夫に、白菜だけを用いた作品、《ブルース》(1951年)があることを書き記しておく。 作品詳細アーティスト: 東信 |
最終更新 2015年 11月 01日 |