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亀山恵:浅い眠り -Light Sleepers-
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 3月 01日

白目が描かれた顔、馬の頭を持つ半獣と手を重ねる少年など、描写された細部に物語や連想を誘導する亀山の絵画は、私たちが思うほど意味や意図があるわけではないようだ。亀山自身の日頃の浮遊感覚が反映されたものらしいのだ。 そう、亀山の絵画は鑑賞者の思惑を裏切る。寝返る。そこで、亀山の絵画は本展タイトルに因んで言えば「寝返り」の絵画である。例えば、人は寝ているとき、意図して「寝返り」を打つことはない。温湿度や物音、夢や無意識の身体の反応として「寝返り」をするだけである。それが転じて、「裏切り」のことを「寝返る」という。つまり、「寝返り」とはそれほどに不意を突く身振りなのだ。 亀山の絵画はこちらの思惑を超えて、私たちに「寝返り」を打つ。夢見心地の絵画空間に私たちが向けるまなざしは「寝返られていく」。その浅い眠りが深くなるのか、起きるのか、どの方向へ寝返りを打つのか。今回が初個展である亀山の今後の「浅い眠り」を私たちは安らかに見届けたい。

最終更新 2015年 11月 03日
 

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