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やなぎみわ:Lullaby
編集部ノート
執筆: 桝田 倫広   
公開日: 2010年 2月 16日

子を持つある母親から「娘に嫉妬する」と聞いたことがある。自分が失いつつある若さを謳歌する、娘の存在が許せないというのだ。娘は門限が厳しく、母親は私を家のベッドに縛り付ける気だわ、と不満をこぼしている。それは、まさしく「白雪姫」のエピソードを思い起こさせる。 やなぎみわは母と娘ではなく、祖母らしき人物と孫娘らしき人物とを対戦させる。安物のプロレス興行のような貧相な格闘なかで垣間見える、老女のお面を被った女性と娘のお面を被った女性のふくらはぎは、どちらもとても発達していて気味が悪い。愛憎と恩讐の彼方に、勝つのはどちらか。いや、そもそも果たして勝つことは幸せなのか。しがみつかない方がいいのではないか。因縁の泥試合の結末は、展覧会場にて。乞うご期待。

最終更新 2010年 9月 15日
 

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