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誠実な草
編集部ノート
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2010年 1月 13日

興梠優護、杉浦慶太、帆苅祥太郎、宮田聡志の男性作家四名によるグループ展。展覧会名を聞くかぎりでは内容を連想しにくいが、プレスリリースを読むかぎり昨今流行の「草食系男子」に代表される「草」のひ弱なイメージとは対照的な、屈強な草のそれを意味合いに込めてのことらしい。同じくかつて流行語となった「雑草魂」に近いのかもしれない。 興梠優の新作ペインティングはこれまで展開してきたポルノ的なイメージの作品群とは異なり、性から離れ、ストレートに生を意識させるものだ。杉浦の《Dark Forest》シリーズは新作ではないが、額装のフォーマットが新しい。黒いフレームに収まり、森が内包する深い闇を強調する。帆苅の新作の立体は、ただ鉱物のごとく精悍な外観で会場に聳える。CASHI初登場だが最も出品点数の多い宮田の《紙》は、およそ紙の素材らしくないジャンクまでもが漉かれ、紙になっており興味深い。 展示作品だけ見て彼らが「誠実な草」であるかどうかが判別できるわけではない。しかし期待させられる展示である。

最終更新 2015年 11月 03日
 

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