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森栄二 展
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2009年 12月 17日

「ポッカリあいた心の穴を少しずつ埋めてゆくんだ」(*1)と歌ったのはフィッシュマンズだが、森栄二の彩色された木彫作品『ぽっかりあいた穴』(*2)には、少年の胸にポッカリ小さな「穴」があいていた。「穴」といってもドリルで無理やり貫通させた穴というより、丁寧に抜かれた「穴」なのである。 少年の胸にポッカリあいた穴を見ているうちに、実は多くの少年の胸にはポッカリあいた穴があって、上着を着ているから気がつかないだけなのではないかという気がしてきた。きっと大人になるとサンタクロースを信じなくなるのと同じように、ポッカリあいた穴が少しずつ埋められていくのかもしれない。 *1 Fishmans「POKKA POKKA」『宇宙 日本 世田谷』収録、Polydor(POCH-1640)、1997年
*2 2009年、木彫、H30cm

最終更新 2015年 11月 04日
 

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