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写真新世紀 東京展 2009
編集部ノート
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2009年 11月 20日

Canonによる写真の公募コンテスト「写真新世紀」の、1992年の初回から数えて20回目。東京都写真美術館の地下一階が会場で、入選作品を入場無料で見ることができる。 いまや写真が現代美術の文脈で語られることも珍しくないように、今回選出された作品の中にも現代美術的な作品がちらほら見受けられる。とりわけレギュラー審査員である南條史生選による作品はその傾向が強いようだったが、これは森美術館館長である氏が自身の役割を認識してのことだろう。同じくレギュラー審査員である荒木経惟選による作品は私写真的で、蜷川実花選の作品は現代美術的かつキュートである。私が最も印象的だったのは、それらいずれのカテゴライズからも外れる、飯沢耕太郎選の齋藤陽道による《タイヤ》(ブック/A3ノビ/24ページ)だ。大型自動車のタイヤを延々と写したストイックな写真だが、どれも動いているところを撮っているためブレており、見ていると駆動感が音を伴ってやってくる。止まっているタイヤではなく、動いているタイヤ、というのが肝だろう。

最終更新 2010年 5月 31日
 

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