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小野木学:ナヤミノタネ
編集部ノート
執筆: 桝田 倫広   
公開日: 2009年 11月 01日

≪ナヤミノタネ ≫画像提供:練馬区立美術館 copy right(c) Gaku ONOGI

小野木学は晩年、己の死期を悟りながらパステルと水彩で絵を描き続けた。深遠さや堅牢さを湛えた抽象画で有名な彼の画風とは大きく異なった、ユーモアと皮肉さに満ちた愉快なモチーフが、紙の上に描かれた。この明るい画風は何によるのか。死期が迫っているにもかかわらず。いや、それ故になのだろうか。いずれにせよ、展覧会の第一室に彼の最晩年のパステル画を据えたことで、第二室に展示された彼の本業である深遠なしかし一見分かりにくいかもしれない抽象画にも親しみを覚える構成となっている。 ちなみに常設展も夭逝の画家太田昇の遺作展が行われている。芸術の秋、遥か異郷の宮廷画家が描く鮮やかな王侯貴族の生活や、庶民には馴染みない御物を仰ぎ見るよりも、身近な故人を偲んではいかがだろうか。どうにも日本人は、いや失礼。私は夭逝に弱い。

小野木学は晩年、己の死期を悟りながらパステルと水彩で絵を描き続けた。深遠さや堅牢さを湛えた抽象画で有名な彼の画風とは大きく異なった、ユーモアと皮肉さに満ちた愉快なモチーフが、紙の上に描かれた。この明るい画風は何によるのか。死期が迫っているにもかかわらず。いや、それ故になのだろうか。いずれにせよ、展覧会の第一室に彼の最晩年のパステル画を据えたことで、第二室に展示された彼の本業である深遠な、しかし一見分かりにくいかもしれない抽象画にも親しみを覚える構成となっている。 ちなみに常設展も夭逝の画家太田昇の遺作展が行われている。芸術の秋、遥か異郷の宮廷画家が描く鮮やかな王侯貴族の生活や、庶民には馴染みない御物を仰ぎ見るよりも、隣の故人を偲んではいかがだろうか。どうにも日本人は。いや失礼、私は夭逝に弱い。

最終更新 2015年 11月 03日
 

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