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松井えり菜:ワンタッチ・タイムマシーーン!
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 03日

《MEKARA UROKO de MEDETAI!》2010年 パネルに油彩、他|H267xW246cm|画像提供:山本現代 copy right(c) Erina MATSUI

日本では約2年半ぶりとなる今回の個展では、東京藝術大学大学院修了制作展で発表した襖絵「MEKARA UROKO de MEDETAI!」を始めとした新作のオイルペインティング数点、”だるま落とし”や”ベビーメリー”を模したおもちゃのような小立体、2007 年から世界中で継続して行っているパフォーマンス「どこへでもいけます」の記録写真の発表など、松井の活動の全容を盛り込んだ一大スペクタクルと言っても過言ではない程の空間を展開致します。 松井の作品はすべて自画像で、ショッキングなほど歪んだ表情や画面にちりばめられた数々のキャラクター、写実的に描かれた「宇宙」や「海」といった背景のきらめきによって私たちを魅了し、子供のような伸びやかな想像の世界で観るものを一瞬にしてタイムトリップさせます。さらに、大きく開かれた口の中に垣間見える宇宙や、敢えて細密に描かれた鼻水、うぶ毛などをつぶさに見つめていくことで、私たちはいつの間にか松井の世界へと引きずりこまれてしまいます。 松井は自己と他者、あるいは自己内での対話が生まれ育って行くことに魅力を感じており、作品に“おかしな表情”や“ポピュラーなキャラクター”を多用して鑑賞者を刺激することで、その場にコミュニケーションが生まれることが重要であると考えています。彼女が描く自身の顔は、「変顔(へんがお)」と呼ばれる若者の流行を背景にしており、滑稽な表情が引き起こす笑いは、毒気のない明るい笑いです。整然と整った側面でなく、醜い一面を触媒に生まれる開放的な関係性というものは、他者との関わりが表面的になりがちな「閉じた社会」と言われる現代において、誰もが根源的に求めていることなのかもしれません。天真爛漫な純粋さに溢れた彼女の自画像は、鑑賞者だけでなく彼らを取り巻く社会までをも巻き込み、絵画史の中だけに留まりがちな模索を超然と飛び越えて私たちを新たな世界へと導きます。 行ってみたいな過去未来、ぽちっと一押し変わる世界。
この4月山本現代がタイムマシーンになります! この展覧会では、松井えり菜の新作、新しい試みを一挙公開いたします。
展覧会「ワンタッチ・タイムマシーーン!」には、普段とは異なったカルチャーとの出会いが引き起こすフラッシュバック、その「フラッシュバック」がさらに自己と他者、あるいは自己内での会話を増幅させて行くことを自身の作品を通してできないかという松井の試みが込められています。
前回の「私の小宇宙」から早二年半、パワーアップした松井えり菜の世界を体感してみませんか?

“気・づ・い・て!ワンタッチドリーミング
あなたがまわして、夢への時間の針を
受・け・止・め・て!ワンタッチブルーミング
咲いてほしいの この気持ち”
(松井えり菜デビュー曲「ワンタッチ・タイムマシーーン!」より一部抜粋)
2010 年
松井えり菜

松井えり菜
1984 年岡山生まれ。美術予備校の文化祭で大賞を受賞した作品『えびちり大好き』が同校の広告として美術雑誌に掲載され、同作品でGEISAI#6 の金賞を受賞。それをきっかけにカルティエ現代美術でのグループ展「J’en reve」に参加し堂々の国際デビューを果たす。2007 年に初個展となる「わたしの小宇宙(コスモ)」を山本現代にて開催。同年11 月にバルセロナのミロ財団で個展を行うなど精力的に活動中。 主な展覧会に2007 年「HOW TO COOK DOCOMODAKE? 」(201 Mulberry St.、ニューヨーク/08 年ICC、東京)、09年「The Simple Art of Parody」(MOCA、台北)、「共鳴する美術2009̶表現への挑戦̶」(倉敷市立美術館、岡山)「ノーマンズランド」(フランス大使館旧庁舎、東京)がある。平成21年度岡山県新進美術家育成「I 氏賞」受賞。 ※全文提供: 山本現代

最終更新 2010年 4月 03日
 

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