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ロバート プラット:TALES FROM THE LIMEN
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 2月 12日

画像提供:eN arts copy right(c) ROBERT PLATT

現代社会の発展の過程には、人類と自然との関係で起きた劇的な変化が見受けられる。
本展覧会 「TALES FROM THE LIMEN」 の軸となるのは、 野生と文化を対比的な領域に分離する境界線が持つ意味合い、そして人類と自然との相互作用である。
西洋文化を形成している宗教、神話、文学、そして伝説などに登場する森は、識別するための秩序を無効化し、主観的な感覚が混乱する場所として描かれている。 森とは、認識基準を混乱させ、それまで隠されていた、異次元の時間と意識を露呈させる場所であるとも言えるだろう。そのような空間では、すべてが生命と意識を持ち、神は獣に化け、徳高い騎士は野蛮人に変容し、直線は円を描き、平凡なものは不思議な力を持ち始めるのだ。
森は、力強く生気に溢れる生命、死、再生、社会の推移、そして集合的なアイデンティティのシンボルなのである。わたしたちにとって、はかなさや柔軟性の高さを意味する象徴的な存在であり、さらに文明社会と自然との関係を考える上では、相互の入れ替えが可能な舞台となる。同時に、わたし個人にとっては、躍動的で潤沢な視覚表現の可能性の追求という、大きなテーマを提供してくれる重要な要素なのだ。
-BY ROBERT PLATT

「過去における自然解釈の習慣、民俗文化、科学、美意識的な哲学や宗教を理解することは、現在と未来を洞察するための起点となる」とROBERT PLATT は言います。自然と技術、科学とアート、論理実証主義と理想、そして我々と自然界---これら、相反すると思われる二者間の関係性に現れる美意識的な慣習に見出される複合的な矛盾を表現することを試みるPLATT の作品。地球上に人類が現れた瞬間から存在したであろうと推測される「人類と自然があらゆる局面で協調と反撥を繰り返す様相」が息をのむほど緻密な筆緻により表現されているのです。 鑑賞者はそこに見えつ隠れつ内包される数限りない要素を認識確認しつつ、PLATT の描く世界に属してしまいます。京都市立芸術大学博士課程をこの春修了し、英国帰国前最後の日本での個展となる本展「TALES FROM THE LIMEN」を是非ご高覧下さい。

※全文提供: eN arts

最終更新 2010年 2月 05日
 

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