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福山えみ:a trip to Europe
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 12月 16日

2009年|画像提供:福山えみ copy right(c) Emi FUKUYAMA

写真家、福山えみ(1981年生まれ)の個展。

"Broken pot"

初めてのヨーロッパへの旅
パリで友人の部屋を借りた
そこはアパートの屋根裏の小さな一室で
窓からは延々と遠くまで続くたくさんのアパートが見えた

アパートの屋根の上には植木鉢をひっくり返したような
小さな茶色い煙突がたくさん並んでいる
とても不思議な光景で 毎日飽きずに眺めていた

8月1日、帰国前日
バスルームのアロエの鉢を落として割ってしまった
私はとても慌てて謝ったけれど
友人は平然としていて
全然気にしないでと言ってくれた

夕方部屋に戻ると
ほかの鉢に植えかえられたアロエが
ベランダに置いてあった

8月2日、最後の日の会話
私「この窓からの眺めがとても好き」
友人「私も。日常の光景だけどね」

日常の光景
私がこの旅で最後まで見つけられなかったものだった

■ 福山えみホームページ http://fukuyamaemi.com/
■ 福山えみプロフィール http://tppg.jp/member/fukuyamaemi.html

全文提供: 福山えみ

 

最終更新 2009年 12月 08日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


前景に植物や柵やモノがあって、画面はそれで遮られるのだが、後景へと視線を誘う絶妙な構成が見ることを欲してやまない。それは浮世絵の奇抜な構図を思わせるが、モノクロプリントのためか、それほど奇妙には思わず、むしろ、カメラはのぞき見をしているような印象を抱かせるほどで、それは遠くから気になる何かを発見して、そばへ近づいていく時の緊張感のようなものが福山えみの写真には漲っている。派手さはないが、美しく丁寧な作品である。


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