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陳若冰:光の量塊
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 12月 03日

画像提供:タグチファインアート

陳若冰(チェン・ルオビン)は1970年中華人民共和国生まれ。杭州美術アカデミーで書と水墨画を学んだ後、1992年に渡独、1998年にデュッセルドルフ美術アカデミー、G. グラウブナー教室を修了しました。2000年にはアーティスト・イン・レジデンス・プログラムで数ヶ月間、アメリカ・コネチカットのジョセフ・アンド・アニ・アルバース財団に滞在。現在はドイツ、デュッセルドルフと中国、北京にスタジオを構え制作活動を続けています。 陳若冰はデュッセルドルフ美術アカデミー在学中から、単純な幾何学的形態を反復してキャンバスに不規則に描き、「地」と「図」を等価関係に置く絵画作品を制作してきました。これは彼が身につけた中国絵画の伝統と、現在そのなかで暮らす西欧近代とを作品のなかで統合しようとする試みです。 奥行きを浅くした装飾的ともいえる絵画空間と水墨画を思わせるアクリル絵の具の微妙な滲み、画面内奥から作品外部に向かって溢れ出るかのような形而上学的な光、深い精神性を湛えながらもどこか楽しげな形態と色彩、これらによって陳若冰は独特の魅力的な作品を生み出します。 すでに20年近くドイツで生活している現在、ヨーロッパ文化のなかで制作する中国人画家というその基本的な立場こそ変わりませんが、陳若冰は中国絵画と西洋近代絵画の対立という構図を軽々と飛び超え、すでに独自のスタイルを獲得することに成功しています。 2005年には上海美術館で個展を開催、2006年には中国浙江省嘉興市に彼の作品と中国の古美術品のみを展示する陳若冰美術館が開館、また日本では資生堂ギャラリーにおける「An Existence 素景」展にも出品しています。2008年春には韓国ソウルのコング画廊、上海のウェルサイド画廊で個展が開催されるなど、近年陳若冰の活動はヨーロッパのみならずアジアでも活発になってきました。 今回6度目となるタグチファインアートでの個展では、近年作家が関心をもっている光の量塊をモチーフにした絵画作品を展示致します。量塊という概念は本来、彫刻に関してマッスや充実体のことを指すもので、かたちを持たない光についてそういった特性を想定することは通常ありません。作家によって画面のなかに形態を与えられてうごめく光の塊は大変興味深く、また魅力的です。新作5点を展示致します。ぜひご高覧ください。 ※全文提供: タグチファインアート

最終更新 2010年 1月 16日
 

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