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岡本光博:オキナワ・ステーキ
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2021年 2月 06日

展示風景 photo:Daisaku OOZU

eitoeikoでは2月6日より2月27日まで、工藤健志のキュレーションによる岡本光博展「オキナワ・ステーキ」を開催いたします。岡本光博(1968年京都生まれ)は、2004年から2006年にかけて沖縄と台湾を拠点に作品を制作していました。沖縄の人々が戦火を浴びたおかげで京都には古い神社仏閣が多く現存しているのだという祖母の話から、岡本はそれを確かめるために移住しました。沖縄では、2004年8月13日に沖縄国際大学に在日米軍のヘリコプター墜落事件がありました。また現地の大学で非常勤講師を務めた際に、米軍のジェット機の騒音を沈黙のままやり過ごす学生を目の当たりにしました。こうした経験から沖縄と日本、在日米軍の関係を示す作品を数多く制作しています。本展は青森県立美術館学芸員の工藤健志がキュレーションを務め、未発表作を含めた平面作品、立体作品、映像作品にインスタレーションと様々なメディアを通じて岡本作品の本質を伝えます。

米軍基地のある沖縄には在日米軍関係者の食の欲求をおおいに満たしているであろうステーキハウスが多く存在する。そもそも沖縄は、アメリカにとってアジア太平洋地域に睨みを利かす戦略的要衝として(ゆえにその反対勢力にとっても)「たっぷりとうまみのあるステキ」な地域…、まさに「オキナワ、ステーキ」なのである。本展はこれまで岡本が制作した沖縄関連の表現からユーモアとウイットに富む作品を中心にセレクトし、その寓意性をもって、固定化した地域認識を乗り越え、沖縄に対するより自由な思考を喚起する場を提示する試みである。展示は岡本によるパフォーマンス「漫湖へ」を収めた映像作品《to MANKO》からはじまる。現代の沖縄の光景を出発点とし、戦時下の犠牲者たちの念を定着させた《赤絨毯》のガイドに沿って、沖縄が抱える問題をテーマにした《NS # 218 OKINAWAN STEAK》や《落米のおそれあり》を配置する。堆積した時間/遺志と、侵食される現状/意思を相互に作用させながら、沖縄という地域を観念的に遡行/観光していくような構成とした。本展が沖縄に対する認識をさらに深め、そのイメージをより豊かにするきっかけとなること、さらに、こうした「編集」が可能な岡本作品の多義性と拡張性にも注目していただければ幸いである。
ということで最後に余談をひとつ。当初僕は展覧会タイトルを「to MANKO」にしたいと考えていた。さすがにそれでは広報に不自由が生じるということで今のタイトルに落ち着いたのだが、あまり狙いすぎても良くないよな、やっぱり、と反省した次第。

工藤健志(キュレーター)

www.eitoeiko.com

全文提供:eitoeiko


会期:2021年2月6日(土) 〜 2021年2月27日(土)
時間:12pm-7pm
休日:日月祝休廊
会場:eitoeiko

最終更新 2021年 2月 06日
 

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