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Published: September 16 2016 |
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展覧会「その島のこと」 — 昔、殿様が海に桶を流させたんや、備前と讃岐の境を作らなあかんゆうてな。 讃岐のもんのほうが備前のもんより潮を見るのが巧かったからなぁ、よおけ海をもろうたゆう話しや。 (桶流し伝説) 豊島で暮らしていると、大正〜昭和初期から生きている人々の口から、まるで昨日の事のような話しのなかに、ひょっこりと昔の景色が現れることがある。 現在、豊島は隣島小豆郡土庄町の一部落だが、昭和30年までは単独の村だった。島の人々は、暮らし方によって、それぞれ、交流し易い対岸の人々との対話を持っていた。その後、日本の社会は高度経済成長期をむかえると、陸上の交通がめまぐるしく発達し、それは当たり前に島の経済や生業に影響を及ぼした。人々は今までの緩やかで豊かな関係性からなる生業のままで暮らすことが困難となってしまった。 島の路地を歩いていると、舗装は朽ち、古い石積みやかつての家屋の礎石だけが露になり、漁具や農具が放置されていることがある。暮らしから発生した造形物は、その役目が失われてもかつての人々の営みを報せるメディアとなり、生活が創造的であったことを標す。 そして私たちに、それらが使われなくなった時間軸で何がおきたのかという想起を促す。 当然この島でも、少子高齢化、人口減少などの影響は著しく、日々の景色はものすごい速さで変化する。 人が居なくなるということは、語り繋がれる機会も減る。語る機会を無くしてゆく事は、自分たちの物語を失ってゆく事でもある。 そのことに、今を生きている私たちはどう立ち向かうべきなのだろうか。 てしまのまどは、造形について、暮らしから考えてゆく態度として、オーラルヒストリーの記録、収集、保存及び共有する試みと、並行してアーティストを招聘し滞在制作の場を開く活動をおこなっている。 これまでに、藤井光、吉濱翔、中西レモン、工藤冬里が滞在し、それぞれが表現活動の延長線上にこの島をみて歩き制作活動をおこなった。 展覧会「その島のこと」は、これまで招聘してきた藤井と吉濱、工藤に加え、企画者である安岐理加、豊島とその近隣に住まう浦中ひとみ、宮脇慎太郎、シライセイジの7人が、それぞれに島という環境下で生成されてきた暮らしについて捉え、表現を通して様々な人々との共有を試みる。 それぞれの物語に耳を澄ましてほしい。
http://www.teshimanomado.com/html/news_20160801.html
全文提供:安岐理加
会期:2016年9月17日(土) 〜 2016年11月30日(水) 時間:10:00-17:00 休日:火曜日他 会場:てしまのまど
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Last Updated on September 17 2016 |