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吉峯和美:Fragment of Memory
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2015年 1月 27日

吉峯和美《Fragment of Memory #8》2014 | 油彩・麻布,50 x 55 cm

吉峯和美は1953年愛媛県生まれで現在東京都在住。英国に長期滞在する機会を得て、1994年からロイヤルアカデミー・リンネアン・ソサエティーで美術史を学び、1995年にチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを修了。1998年にはゴールドスミス・カレッジで芸術学修士課程研究科を修了しました。同年に帰国して以来、東京を中心に定期的に作品を発表しています。

吉峯の絵画作品は、実際の風景や室内の情景をモチーフとしながらも、制作の過程で対象の形態を極限まで削ぎ落とし、平坦な色面構成による抽象絵画の領域に踏み込んでいます。それは具象と抽象の間を絶えず往き来し、言葉以前の根源的な「見る」ということの意味を探ろうとする試みです。また、究極まで抽象化された事物や風景によって吉峯が画面に提示しているのは、写真や映像では表わすことのできない、絵画にのみ描写可能な時間性です。それは、持続しているのか止まっているのか断定できない曖昧な時間であり、見る者の多様な想像を喚起し遥かな記憶へと誘います。

本展はタグチファインアートにおける2度目の個展となります。絵画の独自性や可能性を示す吉峯の新作をぜひご高覧下さい。

[作家コメント]
ペインティングの可能性を考えるとき、その特徴とされる時間と空間の関係をイメージの中でどう捉えるか、また、事物を見るとはどういうことか、という二つの問題に重点をおきつつ、他のメディアである写真や映像などとの対話や関連の中で探求しています。実際、日々見慣れた建物の内部や自然のありさまを観察し、それが何であるか認識できるぎりぎりのところまで突き詰めて、特定の場所や立場にとらわれることなく表現したいと思います。これによって、見る人は知覚と認識の間を揺れ動くことになると考えるからです。と同時にそうしたことは、あたかも不確かな私たちの人生(生と死)を見定めようとすることと似ているのではないかと思います。

今回の ”Fragment of Memory” では、ペインティングのひとつの特徴である時間と空間の関係から生まれるイメージが、いかに私たちの内面の記憶と深く結びついているかを考えます。
吉峯和美

全文提供:タグチファインアート


会期:2015年1月10日(土)~2015年2月14日(土)
時間:13:00~19:00
休日:日・月・祝
会場:タグチファインアート

最終更新 2015年 1月 10日
 

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