| EN |

陳若冰:起源への遡及
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 5月 02日

無題 2013年
アクリル・キャンバス
21.2 x 21.1 cm

陳若冰(チェン・ルオビン)は1970年中華人民共和国生まれ。杭州美術アカデミーで書と水墨画を学んだ後、1992年に渡独、1998年にデュッセルドルフ美術アカデミー、G. グラウブナー教室を修了しました。現在はドイツ、デュッセルドルフと中国、北京にスタジオを構え制作活動を続けています。1998年にメーアブッシュのコンラド・ミュンター画廊で初個展。2000年にはアーティスト・イン・レジデンス・プログラムで数ヶ月間、アメリカ・コネチカットのジョセフ・アンド・アニ・アルバース財団に滞在しました。2006年には中国浙江省嘉興市に彼の作品と中国の古美術品のみを展示する陳若冰美術館「House of Light 光の家」が開館。同年日本では資生堂ギャラリーにおける「An Existence 素景」展にも出品しています。これまでドイツや韓国、中国の美術館での個展やグループ展に数多く参加し、ドイツ、オランダ、中国、韓国、日本の画廊で定期的に個展を開催。ドイツやオランダ、中国、韓国、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリアのアートフェアにも出品、その活動は国際的です。また、その作品は上海美術館、湖北美術館(武漢)、クンストパラスト美術館(デュセルドルフ)をはじめ、さまざまなコレクションに収蔵されています。

陳若冰はデュッセルドルフ美術アカデミー在学中から、単純な幾何学的形態を反復してキャンバスに不規則に描き、「地」と「図」を等価関係に置く絵画作品を制作してきました。これは彼が身につけた中国絵画の伝統と、現在そのなかで暮らす現代西欧とを作品のなかで統合しようとする試みです。 奥行きを浅くした装飾的ともいえる絵画空間と水墨画を思わせるアクリル絵の具の微妙な滲み、画面内奥から作品外部に向かって溢れ出るかのような形而上学的な光、深い精神性を湛えながらもどこか楽しげな形態と色彩、これらによって陳若冰はとても魅力的な作品を生み出しています。生涯の半分をドイツで生活している現在、ヨーロッパ文化のなかで制作する中国人画家というその基本的な立場は変わりませんが、陳若冰は中国絵画と西洋近代絵画の対立という構図を軽々と飛び超え、すでに独自のスタイルを獲得しています。

2008年頃から陳は、これまでの自らの仕事のなかから特定の方向性の作品を取りあげて検証し、一定期間集中してそれを発展させる、という制作方法をとっています。まず最初が、画面中央部に矩形のある作品を展開させた「光の量塊」をモチーフとする作品でした。次には時間を形象化した円環状の形態を描いた作品「時のイメージ」に集中、そして現在は、今回の出品作品のような円盤状の形態と背景との関係を探る作品「The Trace of Origin 起源への遡及」へと、新たな展開を見せています。

今回の展示はタグチファインアートでの9度目の個展となります。シンプルな画面構成のなかに深さや豊かさをたたえる陳若冰の絵画世界を、ぜひこの機会にご高覧下さい。


全文提供:タグチファインアート
会期:2014年5月10日(土)~2014年6月14日(土)
時間:13:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:タグチファインアート
最終更新 2014年 5月 10日
 

関連情報


| EN |