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篠原有司男 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 8月 19日

自身の絵画の上にボクシング•ペインティングをする篠原有司男|画像提供:ギャラリー山口 copyright(c) Ushio SHINOHARA

≪丑三つ時≫ 2009年|250×250cm|アクリル/キャンバス|画像提供:ギャラリー山口 copyright(c) Ushio SHINOHARA

「草木も眠る丑三つ時」
ボクシング・ペインティングが、ぼくの哲学だから描きまくられ、みがき倒された絵は、それが纏う衣装。
沼地を荒れ廻る毒ガエル、散らばるカンザシ、金糸の帯。ドギツク漂う百合の匂。
丑三つ時を三日月様が心細く照らし出している。
そうだろう、どうせぶっ飛ばされるんだから。
篠原有司男

日本の国立国際美術館、東京都現代美術館、大分市美術館などの他、ウィーンやリヨン、釜山などの美術館でボクシング・ペインティングシングを行なっている。また作品は日本の多くの美術館やニューヨークのMOMA、リヨンのヌーボーミュージアム等にコレクションされている。

篠原有司男は精力的な制作活動で現代美術界のスター的存在であり続けているが、渡米後の絵画のモチーフは熱気と混乱の大都会ニューヨークの様々な顔─ダウンタウンの人々、イエローキャブ、地下鉄の入口、スパイダーマンやワンダーウーマンなどのマンガの主人公、ジェリービーンズやストロベリーアイスクリームなどであり、1980年代にはそれに加えて日本的モチーフ─源氏物語や民話の人物、将軍、次郎長、芸者、うさぎ、かえる等が登場し画面上には時間と空間を超えた東洋と西洋の文化の出会いが華やかに展開される。

また、バハマ、バミューダ、ジャマイカ、パリ、ペルーなど作家自身の旅の思い出もモチーフとなり、それらが輝く美しい色彩で存分に野生を誇張されて描かれる。進化を続ける絵画もオートバイ彫刻も接する者に興奮と感動を呼び起こさずにはおかない魅力に溢れている。

全文提供: ギャラリー山口

最終更新 2009年 8月 17日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


≪丑三つ時≫、≪花菖蒲≫、≪マイケルジャクソン≫、≪ロードサイドボム≫の新作四点を、展示室の四面に一点ずつ作品を展示。画題はエンターテイメント色の強いものから政治的なものまで様々だが、いずれも篠原有司男の代名詞と言えるボクシング・ペインティングによるもので、鮮烈な色彩と激しい描写の中に篠原の拳が叩き付けられている。2007年の「ギュウとチュウ—篠原有司男と榎忠」(豊田市美術館)を見てしまうと物足りなくもあるが、出品作の一つである≪ロードサイドボム≫はまるで拳が巨大化したかのように画面の中心に紫が炸裂しており、1932年生まれの篠原の、今なお旺盛な制作意欲が心強い。


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