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内海聖史:ボイジャー
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 8月 11日

画像提供:エン アーツ|Copyright © Satoshi UCHIUMI

eN arts の空間を初めて見たときに、とても美しく複雑な空間だと感じた。
常に身体が移動を促され、壁面にあるイメージが次々と現れるような感覚を持った。
イメージを自ずから追う事を強いる空間。
それに先んじて、僕は絵画の事を考えるときに、宇宙や星について考えることと似ていると思っていた。
情報、仮説、憶測が飛び交うが、ほとんどの人が真に触れる事の出来ないという点で、共通している気がしていた。
ボイジャーという惑星探査機がある。
ボイジャー1号は現在地球から最も遠い所にある人工物だ。
そのボイジャーが太陽系を脱出する為に使用したのがスイングバイ航法という技術である。他の惑星の重力によって加速を補う方法で、重力に引かれながらフラフラと寄り道する様に進んでゆく。
今回の個展では、僕が今までの展示で使用しなかった多くの方法を取り込んでいる。
ギャラリー空間をスイングバイするように、イメージを追って進んでいただけたらと思う。
- 内海聖史

「絵画の美しさは絵の具自体の美しさである」と考える内海聖史。色彩、質感、形、間、展示空間、鑑賞者の動線・・・ 「内海聖史が創り出す美しい絵の具による美しい絵画」とそれを取り巻く環境が作品と一体化します。そしてその作品は、ときには鑑賞者と向かい合い、ときには鑑賞者を包み込むのです。本展では、内海聖史がここ数年間、異素材を用いて試行錯誤を繰り返し、辿り着いたという 初発表の作品を含め、様々な顔を持つ作品を御紹介いたします。 eN arts に広がる 内海聖史の新世界をこの機会にご高覧下さい。

内海聖史
1977 茨城県生まれ
1997 多摩美術大学校友会奨学生
1998 日本交通財団瀧冨士奨学生
2002 多摩美術大学大学院美術研究科修了
2003 第6回 資生堂 ADSP 選出、第18回 ホルベイン・スカラシップ奨学生
2007 神山アーティストインレジデンス

全文提供: eN arts


会期: 2009年8月1日-2009年8月30日

最終更新 2009年 8月 01日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


今年に入り5度目、生涯では通算20度目になるという内海の個展。eN artsは地上一階、地下一階からなる複雑な作りのギャラリーだが、内海は空間に応じて色彩やフォーマット、サイズ、素材などの異なる作品を展示した。すべて新作であり、かつ展示構成が難しい空間の中で作品の持つ可能性を突き詰めているという点で実験的だが、ただ実験的に留まらず、作品の織りなすリズムがきわめて心地いい展覧会に仕上がっている。eN artsは一階に茶室があり今回はその中にも展示がされているが、日本家屋での内海の個展を見たいと思わせるほど作品が空間に適していた。


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